SHAKEが良すぎて髙橋海人さんに目覚めた話

ごきげんよう、ねぇさんです。ブログを書くのは久しぶりですが、変わらずお元気ですか。私はと言うと、先日推しが増えました。散らかっている自分の感情と、目覚めの動画を見た感想が溢れて止まらないので、気持ちを整えるために記事を書いています。

 

増えた推しはこの人です。

 

 
 
 
 
 
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King & Prince(@kingandprince_j)がシェアした投稿

 

髙橋海人(King & Prince)さん。

 

 

友人達にはもれなく「なんで?!」と言われました。私も「なんで?!」って思ったんですけど、今はだいぶ腹落ちしています。人の本質的な好みはいくつになっても変わらんわ…と遠い目をしながら2022年初月を終えようとしています….

 

事の始まり

はじまりはこのツイートから。

TwitterのTLで誰かがRTしたこれが流れてきて、何気なくそれを見てしまった。本っ当に何気なく。で、そこからずーーーーーーっとリピートが止まらなかった*1

元々動画を見るのが得意な方ではないので、そもそも約9分の動画を初めから最後まで飛ばさず、しかも飽きずに繰り返し見続けること自体、私にとってはかなり珍しい。その上私はJr.には明るくなく、キンプリメンバー全員の認知もなかった*2ので、そもそもあの動画がジャニーズ事務所所属タレントによるものとは1ミリも思っていなかった*3。あの人が踊ってるから、ではなく、とにかくあのダンスそのものが好きだし、見ていて本当に気持ちが良い。いまも寝る前や何かの折につけ何回も見るし、その度新鮮に「めちゃくちゃ気持ち良い、永遠にもう一回見たい」と思う。動画で踊ってるのは8人なんだけど*4、接着剤でもついたかのように目が離せない/離れてくれない人がいてさ。それが髙橋海人さんであり、私にとって永遠にもう一回見たいと思うめちゃくちゃ気持ち良いダンスをする人、というわけ。

 

前置き

さてここで少し前置き。これからSHAKEのダンスと髙橋海人さんのことについて、大体1万字のテキストが続くのですが、'私'にとって何が気持ちいいのかをだいたい全部書き出した、私のための記録になっています。過去にFlashエンジニアを生業にしていたことがあるので'動き'については自分なりに語れる文脈があるものの、ダンスの経験は何もなく、髙橋海人さんのパーソナリティやグループの歩みについての理解はまだまだ浅い……そういう人による独り言*5だと思って読んでもらえればと。

↓このツイートをもっともっと細かくしたのが今回の記事だよ!

 

そもそも'動き'とは

自然な動きというものはとっても規則的で、重力や加速度を加味した物理演算式で表現ができるし、加速度は三角関数で基本的な表現ができるんだけど*6、それに対して緩急や余韻・助走の付け方を調整するとそこにすごく個性や質が出るんですよね。この辺の設定は移動や動きの制御をする時に欠かせないもので、アニメーション作りやプログラミングでは「イージング」という、数式やグラフみたいなもので会話がされたりする。

↓はその例で、1が2-5のバリエーションになり、助走と余韻の強弱やアレンジが入って6以降のような動きに展開する。4つまとめで見ていくとわかりやすい。

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AviUtl、覚えておきたいイージングの基本 – FLAPPER

動きには起点・中間点・終点があるわけで*7、特にダンスにおいてその点をどこに置くかはどう音を取るかによる。点の置き方/それをつなぐ動きの線/それを装飾する別の動きには無数の組み合わせ方があり、つまりはそれだけ動きの性格にバリエーションがあるということなのだけど、私にとってのスウィートスポットはこれなんだな!っていう動きを髙橋海人さんがしてることに気付いたんだわ。SHAKEのダンスを見て。

 

SHAKE動画を見ていてハッとしたこと

話題をSHAKEの動画についてに戻そう。

この動画をリピートしていてハッとしたことがあってね。誰かがダンスをする動画はこれまでにたくさん見てきたのに「気持ち良い」という感情が生まれることってあまりなかった。「すごい」「かっこいい」「どうなってるんだ」みたいな、ダンスそのものについてどう思うかを表すワードに出会うことはあっても*8、ダンスを見て'私'がどんな状態になったかを表すワードに出会うことがなかったんだわ。何だかとても鮮やかで清々しい、でもちょっと懐かしい感情だったことをよく覚えている。いやでも懐かしいの何でだろうと思い考えを巡らせたところ、Flash*9でよくやったモーション付けで「これこれ!!」というものができた時や、めちゃくちゃ小気味良い動きに出会った時の「う!わーーーー!!」って感情じゃん………って事に気付くのだった。自分のスウィートスポットに触れた時の感情とシンクロしたのか、そりゃ気持ち良いわ……

 

'気持ち良い'が包括しているもの

SHAKEを見た時に感じた'気持ち良さ'には幾つかの想い(想い)がこもっているので、分解していきますね。全部で4つ挙げます。

1.動きの性格が好みすぎて…

動画の中でトラジャのメンバーからもコメントがあるように、髙橋海人さんのダンスは'緩急がえぐい'。'緩急がえぐい'ダンスを踊る人が五万といる中で私がこの人のダンスに気持ち良さを感じるのは、動きの性格を表現するためのイージングや小技が私の琴線にめちゃくちゃ触れているからだ。ダンスにFlashの概念持ち込んで気持ちよくなってるの我ながらウケる。

彼のダンスは動きの質感がとにかく多彩で、キレがすさまじいものもあればとてもやわらかいものもある。下のツイートはさっきの画像のNo23らへんを説明しようとしたものなんだけど*10、こういう動きをする時、到達点までの移動がめちゃくちゃ早く動きが残って見えるような着地をする時もあれば、No11くらいの緩さでやることもある。その前後に性格の違う動きを添えたり余韻や助走をつけると動きの質がもう一段階ぐっと変わるんだけど、私は彼のそういう、動きへの質の与え方がものすごく好きな様子。

2.音とリズムの取り方がたまんない

ダンスは一度動いてして終わりではなく、それらの動きが音に合わせて連なっていく。音に合わせてということは、音へのはめ方や拍の取り方にも「気持ち良さ」というものがあるということなのですが、髙橋海人さんのSHAKEの振り付けはそこも抜群に気持ち良い。そこを取るんだ!というところもあれば、そこ残すんだな?!ってところもあってね……たまらんのよ……音楽を聞いてて気持ちよくリズムをとれる場所はどこか、どこを取ると気分が上がるかを、1から100まで熟知されている気にすらなる。

特に残しがたまらんの気持ちは誤字や言葉間違いの多いツイートによく出てるので、貼っておきますね……具体的にここ!ってところはのちほど詳細に書き起こします。

3.振り付けがずっとハッピーでニコニコしちゃう

まじでこれ。歌詞と音色の振り付けへの翻訳が永遠に楽しい。どこを切り取ってもみんな超楽しそうなの。「ダンス楽しい!」が伝わるように、踊りそのもの以外にも表情管理もしっかり練習したと言っているだけあって顔でもめちゃくちゃ踊っていてね、そこもとても好きだよね。動きに付けた性格と顔の表情が違うと、こちらが受け取る感情もちぐはぐになるもんな。なのですごく大事だと思う、顔も踊っていること。

今日会わない?ってキミから電話きて、うそ!僕も今そう思ってたの!ってなるところのちょっとびっくりしながらの嬉しさも、テレパシーみたいだと噛み締める嬉しさも、明日休みで仕事もないし♪キミと昼まで眠れそうだし♪のるんるんな嬉しさも、みーーーーんなニュアンスが違うのに、その違いが全部振り付けと表情から伝わるんだわ。そういうダンスなのよ。徹底してハッピーな解釈だし、それをダンスするメンバー全員で徹底して表現してるところにニコニコしちゃう。

4.湧き上がる「踊りたい」という思い

実は「気持ち良い」という感情と共に育った別の気持ちがあってね。「私も踊りたい」っていう。見れば見るほど同じ振り付けで踊ってみたいってなるの。これもかなりびっくりした。だって私ダンスの経験1ミリもないし、あれだけK-POPのダンス動画を見ていても「私も踊りたい」って思ったこと一回しかなかった*11から。どのくらい踊りたいと思ったかというと、ダンススタジオやスクールを探すくらいには……*12

でね、気付いたの。多分あの動画は、いつだかSHAKEをクラブで聞いた時に心の底から湧き上がった「わーーーーーーーい!楽しい!!」という気持ち良さそのものを、非言語で表現した理想の形なんだなと思う。当時の私はその感情を、飛び跳ねたり手をあげたりすることでしか解き放てなかったし今もそれしかできないんだけど、あの動画を見ていると「こんなに自由に表現できるんだな!!」ってなる。私も同じようにやりたい。だってめちゃくちゃ楽しそうで気持ち良さそうなんだもん、混ざりたいに決まってるじゃない?

 

では動画を見ていきましょう

ここからはSHAKE動画を見ていて「ストップァ!!!!!!」となった所を上げていくぞ!とりあえず動画を一度見るんだ。

 

……見ましたか???では始めましょう。話したいシーンを順番にピックアップしていきます。Youtubeの動画へのショートカットリンクも添えておくので*13、是非音付きで見てね!

 

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いいですか、見所は最初のイントロから始まってるんですよ………ご挨拶からのコレオグラファーがフューチャーされるところ、ここの飛び出しのタイミングと飛び出した後の溜めがもう気持ち良い。前小節の8拍目で飛び出して、次小節の1拍目で着地するの。小節を飛び越える男……!!

そのあと着地して4拍目までじっとしてるじゃん、5拍目から踊り始めるじゃん、この溜めが好きなのよ。手前の振り付けを次の小節や拍に残す展開が気持ち良くてね……1小節で気持ちが区切られることなくずっとノッていられるんだわ……。しかもここ、こちらがノッてるのを見て、それに応えるようにあとから踊り出す感じしない?*14そのまま松田元太さんとのダンスバトル的な展開になるのも楽しい。

+81でコレオグラファーも出てくる動画、曲名の入れ方とコレオグラファーの登場の仕方がみんな楽しくて冒頭ばっかり見る事もある。SHAKEはさ、お辞儀からの髪ピヨするんだぜ……それはかわいいだろ……(かわいい)。

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さてまずAメロから。25秒目の「今日会わない?って君の電話」。ここからのAメロブロックはこの記事が書き上がる頃に「うわーーそういう事?!🥺」ってなってあわてて書き足したやつです。

これさ、今日会わない?って電話してきた君が、鏡見て今日着ていく服を合わせてメイクして帽子か上着を取って…玄関を開けて僕のところに向かいながら「ねぇ今日会わない?」って電話してるところだね……?!?!ずっとここの振り付けなんだろう…って思ってたんだけど、違うかな……違わないと思うんだけど、どう?どう??*15

このブロック、全部の動きの付け方がかなり軽快でそれもとても好きで。一つ一つの動作についているイージングと次の動きへの繋げ方、その動きにどんな傾斜のどんな緩急がついていてどう止まるから気持ちのかいいかも細かく説明したいくらいなんですけど、さすがに終わらないので端折ります……

で、そんな君から電話をもらった僕は29秒目で「僕も今そう思っていた」ってなります。

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えーっほんとに!の「!」(1,2拍)、それそれそれ僕もいま同じことを思ってたんだよ(3,4拍)、靴履いて出かける(5,6拍)、同じ気持ちだったことも今から会えることも嬉しくて歩きながら思わずやったー!(7,8拍)じゃない???「今日会わない?」って君の電話を受けての完璧な僕側の流れ……!

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そんな僕は33秒目で「テレパシーみたいで嬉しい」ってなるわけです。噛み締める嬉しさ…!そりゃ嬉しいよ、だって僕もまさに今そう思ってたんだもの。ここ、8人バージョンだとカメラ寄っちゃって振りが見えないので、トラジャのみバージョンを抜粋します。嬉しさの噛み締め方が十人十色でめちゃくちゃ良いのよ。

そしてここはイントロ同様、振りを次の小節にも残してるんですよね。私の気持ち良いポイント。スタジオ練習の髙橋海人さんの様子がわかりやすいのでそっちを貼ります。

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fpsたっか!!!全ての動きの解像度が高くて.flaにしたらどんなフレームレートにしないといけないんだ………*16それはそれとして、見てほしいのは動きをどの拍に合わせて入れてるかってところで…。テレパシーみたいでうれし・い〜っていう風に、8拍目の''で胸をトントンと軽く叩いた右手を次の小節の'い〜'に合わせてまずは2拍ゆっくり、3拍目から徐々に加速しながら上に上げていく。イージングだとNo26系が近そう。助走をじっくり、後半はじわじわっと加速する、「ょっ っ  っしゃぁぁぁああ」みたいなやつ。この溜めがあることで、嬉しさ噛み締めてる感じがめちゃくちゃ伝わるね!

ここまでがAメロ1回目ブロックなんですけど、前に書いた'振り付けがとにかくハッピーでニコニコしちゃう'の超良例です。君と僕がずっとウキウキしてるのが伝わる振り付け、楽しくて最高!

 

Aメロ2回目辺りからは振り付けの解釈以外の話も混ざってきます。まず37秒目のAメロ同士の間奏からの「明日は休みだ」に入るところ

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振り付け、トラジャだけver.の方がわかりやすいのでキャプチャはそっちを貼りますね。ここ音付きで見るとわかりやすいので是非Youtubeで見てもらいたいんですけど、間奏の振りが0.5拍ずつのリズム×5回分(手をパンとするところが5回目)で一つの動作になってて、同じリズムの取り方の動きが次の小節に横断してる。かつ裏ハメのリズム取りだったのが、'明日は休みだ'の途中から表へのハメ方に変わる。'っあっすぅはやぁーすぅみぃだぁ'の太字は表で細字は裏、みたいな。これここ、メロディと同じリズムの取り方を手前の間奏から引っ張ってきてるので、見てる側のリズムが切り落とされずノリが継続できる良さもあるし、表で取ってる振りの刻み方が半分に落ちることで'テレパシーみたいで嬉しい'からの動きで緩い刻む緩いの波ができてる。動きの波の作り方がうまいなーってなる、気持ちいいポイント!

あと'明日は休みだ'の歌い出しの前に手拍子一つ入るじゃない?手拍子入るところはこの後にもいくつか出てくるんだけど、動きの区切りとか1発刻むと後の流れにのれて良いとか色んな効果ある中、ここはシンプルに「あっ!そういえば明日休みじゃん!」というひらめきの手拍子にも見えて、効果〜!って気持ちになったのだった。髙橋さんソロのフルでもよく伝わるので、そっちも貼っておきます。

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いやしかし明日は'休みだ'の手、なんと気持ちの良い残り方………No23系の加減速の付け方がばしばし琴線にふれるんだわ……特に2回目の手のひらひらの加減速と動きのラインが気持ち良すぎてここだけ繰り返して見ちゃうね………

そこから少し飛んで44秒目の「早起きなんか」

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左右に腕をヤァ!ヤァ!!と伸ばすところも重量とキレがあって気持ち良い。動かし始めの手をどちらも真横に素早く引いてから伸ばすので助走があるし、足の踏み込みスピードも早く重心も深めで土台が重い。右足なんてほとんど上に上がる事なくそのまま開いてドン!だからね…助走がなく起動がシンプルなのでがっちり感も出てる。顔ごと腕を動かすことで横移動の動きが厚く見えるし、左右の手が真上を向いた状態でほぼ水平に短くビッと腕が伸びるので、真横の壁を押すように全体がしっかり止まってみえる。左右に波動拳でそう。

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48秒目の「君と昼まで眠れそう」はさっき書いたイージングのNo19あたりが繰り返されるんだけど、ね・む・れ・そ・おーーぅの身体の納め方と最後の移動の流し方が皆少しずつ違っておもしろい。私はどの動きを一番見せたいのかが分かる足し引きを好むので、体や頭の動きが少ない人に目がいくのです。頭の動かし方、みんな違うよね。こういうところに個人の裁量があると個性を出せて良いなーって思います。移動の流し方は次の立ち位置までの距離にもよるけど、髙橋海人さんはせせらぎでなかなか流れていかない葉っぱが、ゆーーーっくり流されはじめる感じ……頭が最後に残ってるところとか、葉っぱが何かに引っかかって最後まで流れていかないやつじゃーーんってなりませんか…脱力感すごくてこれは昼まで寝れるわ……ってなった。ちなみにこれと対照的な加速パターンの動きも後で出てきます。あと最後にブーンってするところはかわいい(かわいい)。

 

そしてこれはちょっと、ウワーーーーーってなったので切り出して話をしたい。49秒目「昼まで」の振り付けなんですけど、Namae Oshieteの引用の話を聞いて後からそっちのダンスも見返したんです。いやいやいや待って待って待って。

 

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愛しさの質が全然違くない?!?!?!

 

SHAKEの方ではこうなんですけど、

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抱きしめてからの手の動きの閉じ方と顔の入れ方の違いだけで、抱きしめた相手への愛しさの質の違いがめちゃくちゃ出てる…………

Namae Oshieteは心の底から愛しくて愛しくてたまらない/簡単に言葉になんて表せない/シャンパン色した込み上げてくる感情がすごいんだけど、引用したSHAKEの方だとかわいくてかわいくて仕方ない/うきうきが止まらない/ポップな色した気持ちが弾けてる感じしない???*17画面の色使いの違いの影響ももちろんあるんだけど、動きのスピードや余韻の残し方・動きを残すのに使う時間の長さ・他の動きの添え方・表情の作り方etc、これらの組み合わせ方の違いによる賜物なのよ、この質の違い………無音のgifにするとその違いが歴然としていて、ウワーーーーーーッとなるわけよ………

SHAKEを滝のように浴びてから見るNamae Oshieteの髙橋海人さんのダンスまじで、まじでたまらんくて、ここ見るたびに必ず「愛しさの違いーーーー!!!」って声に出ますね………直接言葉で表されるよりも受け取るものが明らかに多いので、非言語表現は本当に面白いなと思う瞬間です。

 

そのすぐ後の53秒目、Bメロへのブリッジも気持ち良い。

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1拍に2点→1拍に1点→oh〜で1小節に1点に打点が広がってくところ…これは減速スピードが一定で美しい部門(?)。直前の「君と昼まで眠れそう」の振りが密度薄かったのに対してここで一回ぐっと上げてからまた徐々に落とすの、波があって飽きない。

そこから「渋滞のタクシーも」でさらに振りの密度を落とし、57秒目でトントントンタンと1拍ずつ移動してからの59秒目のここね!

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キャッチーーーーーーーーーーー🚕✨✨✨

ここにくるまでの緩い→キレ→刻んで→かわいい🚕✨の展開がまじで、まじで楽しい。🚕の後からまた振りのペースが上がるんだけど、3・3・2のリズムで移動するので、これまでのリズムの取り方がリセットされるし、この後の混み入ったリズムにつながる良い導入になってるように思うんだわ。

ちなみにこの3・3・2で移動するところなんですけど、川島さんがめちゃくちゃ良い顔で、カメラではなく他のメンバーを見ているのがすごく好きなんです…「あーーたのしいなーーー!なーー?」が漏れてて!ダンス動画やMVを見てるとたまに「漏れてる漏れてる!感情が漏れてる!」っていう'笑み'*18に出会うことがあるんですけど、川島さんのこれはまさにそれでした。笑みが現れるダンスは良いダンス!

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3・3・2で移動した後の1分3秒目「oh〜進まなくったって」なんですけど、打点の置き方がこれまでの刻み方と少し変わって、ツツタタツツタタン!タン‼︎ってなる。伝わるのかなこれ、ステップの踏み方を見ると伝わる気がする。これまでスムーズに流れてきたものがここでクッとひっかかる感じ、まさに'進まなくったって'なんだよな。

動きも好きなんですよねここ。タツツタタツツの'ツツ'のところを上半身がぐいーんぐいーんてするやつ。下半身の体幹でしっかり土台固めないと、上半身と下半身の動きがきれいに分離できないやつだと思うんだきっと。2回目の'ツツ'のぐいーんMOVEが特に好きです。渋滞のタクシー進まない中後ろから押されてあわわってなっているここ、顔の表情の付け方もそうだし、胸から首の付け根までの動き順序みたいなものも後ろに出てる右足がちょっと浮くのも、ちょちょちょちょ!!ってなる手の動きもみんな、このあわわ感を支えている。手厚い。

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そのまま1分5秒目、進まなくてイライラしちゃう皆さんと当たられちゃう松田元太さんによる「えぇ…おれ…?」良い対比。3回目の頭の振りが強いだけですごくイライラしてるように見えるので、人は本当に色々な仕草から相手の感情を推測っているのだなと思うわ……。そしてみんなにまーまーそんなイライラせんと…ってされる髙橋海人さんはかわいい。

練習の時のこのパート、首でのカウントが残っていてね。本番でもよく見るとちっさく入ってるんですけど、これがイライラにおける「ほんとなんなん?お??」の「お??」みたいで、ニュアンス…!ってなってる。多分振り付けとして入ってるわけではないと思うんだけど、人の動きは本当に雄弁だなぁと感じるポイントだった。

ちなみに練習でのこの首のカウント残し、イージングでいうとNo31らへんになると思います。ビヨンョンョン……ってやつ。

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全体の流れとしても、ここで一度みんなの動きが止まり、サビに行くぞ感のある移動が挟まる構成なことで気持ちが盛り上がる。良い助走だなと思います。

8人で踊ってる動画では髙橋さんの表情が分からないんですけど、インスタに後日アップされたソロショットリール動画だと進まなくてめちゃくちゃイライラした顔しててそれも良かった。「ほんとなんなん?お?」じゃなくて「なんなのまじ。あぁ?!」になってて思ってたより強目だな?!っていう笑 こういうのは見えなくても動作に現れるので、表情ほんと大事だなーっと。

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…はい!!やっとサビです!!私が1番好きなやつ!1分12秒目の「シェイク!シェイク!」で、髙橋海人さんが左手をビタッと止めるところ!

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私はこの止めが重くきまるところが大好きなんだけど、それは止めの動きの速さ以外に、直前の拍で手拍子入れて後の動きの流れの起点を作ったり/頭も髪も逆の腕も全部が助走となる逆の動作をキレ良く同時にやっていたり/後ろ足の踏み込みが強かったり/その前の移動をひょいひょいっと軽くやることで動きのギャップがでたり……そういうの全部があの重さを作っているわけで………結果として、左手止まってるのに何だかビリビリしてるというか、強めのバネを急に止めた事でビィィィンってしてる感じがたまらんのだわ。サビ始めで音的にもかなり分厚いところなので、このビリビリは相乗効果だなって思う。

そしてその音拾いたくなるよねわかる部門代表な、1分15秒目の「ブギーな胸騒ぎ」のあとの「テレッテッテッテ」

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気持ち良ーーーーーーーーーー!これ、テレッテッテッテに行く半拍前を両足で踏んでるので、始めのテレッも含めてきれいにテレッテッテッテを踏めてるんじゃないかって思う*19。キーフレームの前に1フレームだけ独立キーフレームを置いて後の動きを揃える感じすごく良い!!*20足足からの曲げて顔顔!って登ってくる振り付けなので、最後が顔だとすごく顔を見るし、その後一拍置くのでより一層顔を見るわけよ。みんな良い顔しててかわいい🐯

それと髙橋海人さん、テレッテッテッテで足をピヨッする時に手も上にピヨッてしてるの良くない??一つだけ飛び出る動き、それもまたかわいい。ここ、足ピヨにつける足以外の動きがみんな違って楽しいのでぜひ見比べてほしいとこです。

このすぐ後、1分16秒からの「チョーベリベリ最高ヒッピハッピシェイク」が、49秒目「君と昼まで眠れそう」におけるイージングNo19系ふんわり感のある動きとは逆のやつです。

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到達地点に向かってぎゅんと加速するNo18系の動き!これ打点の置き所が爽快で、この1小節の3拍目から打ち始めるんだけど、8拍目にあたるところだけはトラックの音を2音拾いに入ってるの。「(チョーベリベリ)ッピハピシェイチャラッチャッチャ」の太字のところが打点で、最後のチャッチャだけは「ブギーな胸騒ぎ」後の「テレッテッテッテ」とお揃いなんだわ。おしゃれ……!!!しかもお揃い相手のテレッテッテッテは上がる音階と同じく上に登る振り付けだったけど、今回のチャラッチャッチャは下目の音…その音を足元で取ってるんだよね。音の展開と振り付けの位置シンクロしてるじゃん………やめてよ…….🥺

その上で髙橋海人さんは明確に拍を打ちつつ、飛石が等間隔で飛び続けてるように打点の間をぎゅーんぎゅーんと駆け抜けていくんだわ……気持ち良いのなんの……

 

サビも後半に入っていきます。1分20秒目「シューシュー星が流れてく」

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'シューシュー'で右腕がぐるっと下がり上がりする所、音速すぎて腕回してないように見えて…今の動き何?!質量?!ってなった。この一挙動が音速で、その後に手ぱっぱ星ぴかぴかの穏やかな動きになるんだけど、手前の飛石展開(?)からの流れと同じ姿勢同じぎゅーん感で2拍分続けてくれるので、前ほど派手に動かないものの、画面スピードが急な減速せずをせずに済んでるなって。ここも前の展開が次の展開に少し残ってるなと思うところのひとつで、気持ちが乗ったままでいられるのありがたい。そして'シューシュー'と星が流れていくスピード感とリンクする動きの速さ。これだよ。シンクロ気持ちいいやつ。

その後手ぱっぱで表した星は「星が流れてく」で上から下にシューンと流れていき、振り付けはオーラスに向かって行く……のですが、オーラス手前の1分23秒目「明日からハレルヤ」も良い動きで気持ちいいんだわ…

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ここは「昼まで眠れそう」と同じNo19系の加減速なんだけど、同じ質の動きでも感じ方がかなり違う。単純にそこより早いペースで動かしているというのもあるけど、間に別の動きや溜めが挟まったりすることで、ふんわり感がだいぶ変化するのです。だってここ、'あした(動く)から(姿勢キープで腕チェンジからの顎に手かける)ハレ(動く)ル(何もしない!)・ヤ〜(身体前に倒す)ah〜(カーテンコールの準備?!)'だもの。振り付けから感じるリズム〜!ってなる、気持ち良いポイントだったりする。

そしてこの'ah〜'でカーテンコールの準備か?!ってなるところから、オーラスに向かいます。最後に最高な展開が待ってるんだわ…!

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ピックアップするのはここが最後だよ!!1分27秒目「ah〜ふたりならヤレルヤ」。ここの'ふたり'が指すのは歌詞だと君と僕なんだけど、この場においてはトラジャと髙橋海人さんを指してるんだなとわかる振り付け…!プラス(両手で十字)!エイティー(両手で8)!ワン(片手で1)!おれらなら(ぐるっと回して)やれる〜!Yeah〜!なんて気分が上がる最後の振り付け〜!楽しくて最高〜!🐯🌻

ここ、'ah〜'に合わせてふんわりカーテンコールするかと思ったら最後の4拍で爆上げ動作が差し込まれるので「まだ終わらない!うおおおおお!」って気持ちを上げてくれる。しかも自分達を指す振りが入るので、踊る側のテンションも上がる。その上でばんざーい!の前にひとターン入ってくるので溜めができ、最後のばんざいの爆発力増し増し。最高のクライマックスの演出だなー!ってなるね!

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'+81'の振り付けしてる時の様子、3分54秒から見れるので見てほしい。みんな良いテンションで☺️☺️☺️ってなるので!

 

出し切った……………ピックアップしたところを並べるとこんな感じです↓。Youtubeのショートカットリンク貼っておきます。

  1. イントロ:こちらのノリを伺う溜め
  2. 25秒:今日会わない?な君
  3. 29秒:うそ!同じこと考えてた!な僕
  4. 33秒:噛みしめる嬉しさ
  5. 37秒:裏ハメから表に変わっていく明日は休みだ
  6. 44秒:早起きしなくてよくて波動拳出そう
  7. 48秒:昼まで眠れそうなせせらぎ
  8. 49秒:Namae Oshieteとの愛しさの質が全然違って大変
  9. 53秒:減速スピードの美しいBメロへのブリッジ
  10. 57秒:🚕💨💨💨
  11. 1分3秒:進まなくなる音取り
  12. 1分5秒:イライラしちゃう皆さん
  13. 1分12秒:シェイク!シェイク!の左手ビタ止め
  14. 1分15秒:ブギーな胸騒ぎのあとのテレッテッテッテ
  15. 1分16秒:チョーベリベリ最高な飛石感
  16. 1分20秒:飛石感をぶつ切りしないシューシュー
  17. 1分23秒:明日からハレルヤの振りのリズムが気持ち良い
  18. 1分27秒:おれたちならやれる!な、ふたりならヤレルヤ

めちゃめちゃ刻んでた…!!! いやでもそれくらいずっとウキウキしながら見てたんだわ。ピックアップしなかった箇所についても話したいことはあるんだけど、うまく文字にできなくて諦めてたりするので、だいたいぜんぶの動きでストップァ!!!!って言いたくなるポイントがあります。すごい。

ハッ、そういえば顔で踊ってるところのピックアップ全然してなくない……??選曲の話もしてない……お、終われなくない……????*21

 

 

みんな違ってみんな良い

勘違いされたくないのだけど、これまで書いてきた理由があるから髙橋海人さんのダンスが誰よりも優れているということが言いたいのでは決してなく……ただそれが私の好みの動きなだけで、好きだー!!と言いたいだけで……。一度に目で追える動きは限られているので*22、後からトラジャの皆さんのダンスもじっくり見たんですけど、一人一人そういう質の表現の仕方違うじゃない?shortの動画を見ると個性がよくわかるし、本編を観察すると細かい動きが全然違うので本当に本当に味わい深い。

振り付けを丁寧に踊るタイプと感じる人からはコレオグラファーへのリスペクトやまじめさを感じるし、人一倍軽やかに踊るなぁと思った人は表情も軽やかなので私の気持ちも軽やかになる。ひょうきんな動きでキメにくる人もいてさ、ああこの人はそう一面があるんだなぁとかね、気づけるわけでさ。ここは手をつけたり自由にしてねってところもあるから、そういうのを見比べると表現はそれぞれと改めて思う。後日行われたインスタライブでも「はじめてダンスで自分を表現できた」と言っているメンバーがいて、あぁすごく良いコラボだったんだなと思ったもんな。

私は松田元太さんの動きも好みのラインだなという気づきも得ているのだけど、分解するとこの記事と同じようなことを話し出すだろうと思うのよ。みんな違ってみんな良いのよ。木を見たら森を見、その上でまた個々の木を見るのだ………トラジャだけで踊るSHAKEもとっても楽しくて「個性〜!」ってなるので、そっちも貼っておくんでね、見てね…!

 

 

推しの傾向が言語化できてしまった

ここまでひとつのダンスと振り付けについてウワーーーーッと書き切るくらいには興味が湧いてしまった髙橋海人さんなんですけど、彼を通して私の推しの傾向を再認識してしまった。非言語コミュニケーション強者が好きすぎる。言語を使わずに感情や情景を伝えようとする表現の方が、言語を使うそれよりも受け取る側の裁量があって楽しいと感じているので、それはそうだねっていう。

私、何かを見て自分が感じたことを自分自身で見つけて言葉にする作業が好きなのです。初めから文字で書いてあるとそれが正解に思えてしまって、自己観察が捗らなかったりするんだよね……なので、読めない言語で書いてあるアートブックや歌詞がわからない・歌詞がない曲、それこそダンスやステージを見聞きする方が好きだったりする*23

でね、たまにあるのよ。誰かの表現を見た時に、その人から伝播した感情が、表現から受け取ったイメージの脳内描写が、洪水のように湧き上がる時が。そういう表現をする人、まじで推しになる傾向が高い。感性のチャンネルを狙って合わせられる人*24か、こちらがチャンネルを合わせてしまうような引力のある人*25、本当にこわい(推しこわい)。

髙橋海人さんは伝えたい感情が伝わる表現を自分で採用できる人なんだと思うので、狙ってチャンネルを合わせられる人という所感。ダンスやってる人は頭の先から爪先まで自分の全方位が表現媒体なので、表現者としてはもちろん、被写体としての勘が良いんですよね。ベースがそれな上でアイドルなので、誰に何を伝える時どうするとこうなる、の見通しを立てるのが実はめちゃくちゃ上手いのではと思う。今回のSHAKEの振り付けだって「とにかくダンス楽しい!ジャニーズの曲でダンス楽しいわやばいなー!」ってやつをやりたかったわけで、私はそれをそのまんま受け取ったわけで*26。そういうことなんですよね、狙って感性のチャンネルを合わせられるということは。

ちなみにこの「うわぁ踊りてぇ…!」の気持ちは髙橋海人さん自身も+81の過去動画から受け取っており。+81のコンテンツの良さを自分の番でもちゃんと形にしているところも、とても素敵だなと思います。SHAKEのことばっかり書きましたけど、+81 DANCE STUDIO自体が本当に良コンテンツ。

 

そんなわけで

いやーまさか、一月のほとんどがSHAKEと髙橋海人さんのことを考えて終わるとは夢にも思わなかった。DancePracticeにジャニフェスにと、呼水的なコンテンツはたくさんあったし、私も見ているはずなのだけど、そんな中最終的にトドメを刺したコンテンツがSHAKEだったってことを大事にしたい。

ちなみにRe:SenseコンのBlu-rayも買いまして*27。全編通してとても良かったし、個人からグループに関心を広げる事ができたことも嬉しい。

ということで、今年はSHAKEの髙橋海人新規としても生きていく所存です*28。おれはあなたの作ったダンスも、あなたがあらゆる曲で踊るところも、もっともっと見たい…!!これからの活動を楽しみに2022年を過ごしたいと思います。

 

そうそう、1月29日にSHAKEの総仕上げのための番組があるんだよ。約1万字のテキストを読み切ってくれた人はみんな見てね!!!

*1:1月6日くらいからずっと

*2:ごめんなさい

*3:Twitterのアカウントホームのタグを見てはじめてトラジャやん…!となる

*4:チャンネル主7人+コレオグラファー1人

*5:解説ではない

*6:世の中の動きは数式で表せる

*7:中間点はない時もある

*8:テミンさんとかせぶちとかは割とこっち

*9:Adobe Flash(アドビ・フラッシュ)は、かつてアドビが開発していた動画やゲームなどを扱うための規格、およびそれを作成・動作させるアプリケーション群。- wikiより

*10:テキストだけで伝えるの無理がある

*11:ZICOの아누노래だけ

*12:人生で初めて自分でスクールを探した

*13:Youtube区間指定ループで埋め込めるパラメータを早めに実装してください、頼むから

*14:実際はキャプション入れるための時間だったりするかもしれないんだど、それはそれ

*15:こういうことをする余地があるのが楽しいので、正解を知りたいという欲はそんなにない

*16:もうflaファイルは作れない、なぜならFlashが終了しているから

*17:個人の感想です

*18:楽しさが漏れてる笑みもあれば、気持ち入りすぎてトリップしてる笑みもある。

*19:振り入れの様子でもはっきり踏んでた

*20:伝わり辛い

*21:書けたらおかわりとして書くね…

*22:人間の仕様なのでそれはしょうがない

*23:他人の日記や何かにハマった時の記録を読むのは好き。それらは私が介入できる余地がないことが正しいので、他人の事実を知るのが楽しい

*24:Penomecoやウジくん、やすださん松本さんはここ

*25:Deanやテミンさんはここ

*26:踊りたくてダンススクールまで探した

*27:そのうち感想を書きたい

*28:推しや担当は増えていくスタイル

2019年によく聞いた曲ピックアップ(2/2) 曲別編

少しずつ書いていたら2月になってしまった…今回はアルバム編と曲別編に記事を分けて書いている「2019年によく聞いた曲ピックアップ」、続いては曲別編です。過去2年と同じように、シチュエーションごとやキーワードを軸に印象深かったものやよく聞いたものについて書くよー。

※アルバム編はこちら

 

▼芝生で聞きたい

天気の良い日に芝生にレジャーシート敷いて昼寝しながら聞きたい曲のことを私は'芝生ソング'と呼んでいるのですが。2019年も良質な芝生ソングがたくさん生まれていて、晴天の昼間から心地よい昼寝に誘ってくれた。そんな芝生ソング選抜、今回はこの2曲。

Zebra by SOMA

1'30くらいから別の曲に変わるんだけど、MVがあるので貼りますね。


SOMA - Zebra + My Captain M/V

Like Me (Prod. Mokyo) by pH-1


pH-1 'Like Me (Prod. Mokyo)' Official Music Video

毎年4月に蘭芝漢江公園で開催されているHiphopplaya Festivalに去年も遊びに行ったんだけど、SOMAもph-1も出演してて、この2曲を歌ってくれたんですよね。芝生ソングとしての仕事を完璧に果たしてくれた。ちょっと見てほしいこのZebra!夜はかなり冷えたけど、その分昼は完璧に晴れてて気持ちよかったなー。

この曲が入ってるアルバムの中だとZebraはかなり異質な曲であった。私はあとこれが好きです。

Your Eyes

Your Eyes

  • SOMA
  • R&B/ソウル
  • ¥255

Like meは友達と雑な会話をしながら、まさにレジャーシートの上でダラダラ聞けて最高だった。これが芝生ソングの醍醐味なんだよなぁ。

2019年は何かとph-1のライブを見ることが多くて、もしかしたらPenomecoよりたくさん見てるんじゃないの?!となった*1。この曲も度々やってくれたんだけど、天気の良い日に芝生の上で聞くのがやはり最高だな、となったのだった。同じアルバムに入ってるMalibuがとても不穏で良い対比。

Malibu (feat. The Quiett & Mokyo) [Prod. Mokyo]

Malibu (feat. The Quiett & Mokyo) [Prod. Mokyo]

  • pH-1
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥255

 

▼宇宙に連れてってくれる

「宇宙を彷彿とさせる」と一口に言っても色々な絵があると思うんですけど、これは良い宇宙だなとなったものをいくつか。

Bad High (feat. Jade) by Primary


프라이머리 (Primary) - 'Bad High (Feat. Jade)' M/V

曲展開がGravity(映画)を見てるような印象だった。最初は探索機の小窓から明かりがともる地球をのぞいていたのに、1'00あたりから層が変わるというか…だんだん地球から離れていってる感じしません?ちょっとジジジってなるトラックも宇宙服着て会話してる時のノイズみたいで、そのうち周りにはデブリしかなくなり…みたいな…。だんだん独りになってく感じもとても宇宙ぽくて良かった。Primary、Amoeba Culture所属のベテラン(になるの?)名プロデューサー。リリースする曲どれも手が込んでて好きです。

Moonwalk by ASTRO

Moonwalk

Moonwalk

  • provided courtesy of iTunes

 この冒頭の音色が、私にとっては未知のものを前にした時の、不安と好奇心混じりの咆哮を表す音でもあって、すごく好きな音色なんですよね…。それと同時に、脳内に満月の映像を生成するトリガーにもなっていて、たまにこの音に出会うと月に飛ばされる気持ちになる。この曲を初めて聞いた時は、テンポといい展開といいタイトルといいグループ名といい(!)これは完璧な満月、いやむしろ皆既月食が起こっているのでは…?となった。巨大な月の映像を背負って踊ってほしいなぁー。

月といえば衛星。衛星といえば、その衛星が頭の周りをくるくるひゅんひゅんと回っているような音が印象的なこの曲もある意味宇宙。

Blind for Love by Risso


Risso(리소) - Blind For Love [Official Audio]

着色料でいちごミルク色に塗ったような声なので、一度聞いたらすぐ覚えられる。Hamming Urban StereoとレーベルメイトなRisso、同じくレーベルメイト*2の、と毎年12月に出してるレーベルのコンピが良いのでこっちも聞いてみてほしー。

https://music.apple.com/jp/album/mix-4-ep/1492664119?at=10l8JW&ct=hatenablog

Luckitty-Cat by WJSN 

Luckitty-Cat

Luckitty-Cat

  • provided courtesy of iTunes

宇宙少女は今すぐ任天堂とコラボして、マリオカートレインボーロードレースクイーンをやるべき…いやドライバーでもいいよ!!となった曲。イントロからAメロに入るまでの音作りなんて正にジェットスタートしようとエンジンふかしてるところだし、サビはコーナーで加速するところじゃん!!と大興奮だった。

これ、同じアルバムに入ってるWwもレインボーロードだ…となり、任天堂はなにしてるの?!と西の方に向かって叫んでいた。メロディが上下にぽんぽん踊るのですごく難しそう…でもマリオカートなんだよ…なにがそうさせてるんだろう、テンポかな…

Ww

Ww

 

▼マスターあれひとつ、となる曲

私が曲の印象を話す時、お酒に例えることがよくあるんですけど、2019年はウイスキーのお供が豊富で嬉しかった…その中でも飛び抜けていたのがこれ。

… by LeellaMarz & Apro 

…

  • LeellaMarz & Apro
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

アルバム編でも取りあげたLeellamarzと、CocobottleをはじめとするPenomecoの作品でよく登場するAproさん(なんでかさん付けしちゃう)との共作'[ Leellamarz ] is defferent'より。これトラックもすばらしいんだけど、Leellamarzの歌がすごい。叫ぶように歌うの超良くてさ、こ持っている感情の量がすごいの。で、うわぁと思ってたら泣きそうなバイオリンの音が被さるので心臓がギュッとなるんだよね…。きっついウイスキーください…ってなった後、それを飲み切る前に耐えきれずに席を立ち、土砂降りの中「なんでだよ!!」って泣きながら歌うのがこれです…(?)ちなみにこのアルバム、タイトル曲ではPenomecoを客演に迎えて超俺得なコラボが実現しておりそれも超良いのでこっちもよろしく…

I THINK (feat. PENOMECO) by LeellaMarz & Apro

I THINK (feat. PENOMECO)

I THINK (feat. PENOMECO)

  • Leellamarz & Apro
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥255

Taste (feat. GIRIBOY) [Prod. By GRAY] by Woo


우원재 (Woo) - '호불호 (Feat. 기리보이) (Prod. By GRAY)' Official Music Video (ENG/CHN)

これもウィスキー。なんだろう、ウィスキーぽい音色ってあるよね?ちょっと乾燥して煙たそうなトラック、ピートのきついウィスキーそっくり。

010 (feat. GIRIBOY) by BIG Naughty 


[ENG sub] Show Me The Money8 [10회] 서동현 - 전화번호 (Feat. 기리보이) @세미파이널 4강 190927 EP.10

酒に例える曲として彼を引き合いに出していいのか判断つかないんだけど…show me the money8でGIRIBOYやCrushを虜にしたBIG Naughtyことソドンヒョン、本当になんていう声なんだろう!私にとってはこのエフェクトのギターの音に詰まり気味のリズムは完全にバーテンダーが一人でまわしてる看板のないバーなんですよね。そのトラックにこんな声乗せちゃうんだ…へぇ…ウィスキーのおかわりをもらいたいのに、歌が良すぎて酔いが覚めちゃうじゃない…。

All About Us (feat. Niia) by CODE KUNST


코드 쿤스트 (CODE KUNST) - 'All About Us (Feat. Niia)' Official Visualizer

CODE KUNST、この曲もアルバムに入ってる他の曲も、きめ細かいシャンパンの泡がキラキラしゅわしゅわしているようで本当に素敵だった。シャンパンの中にダイブしたら世界が金色に見えるじゃない?シャンパンゴールドとはまさにこの事だなとなった。

Gravity by DPR LIVE & DPR CREAM

Gravity

Gravity

  • DPR LIVE & DPR CREAM
  • K-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

トラックにおけるエレキギターの使い方が天才!!これはバーというかレトロなアメリカンダイナーだよなぁ。ここでの「マスターあれひとつ」は、ビールではなく瓶のコーラなんだよね、知ってる(?)。大きな水色のドットのワンピースを着て、頭に特大のリボンをかざりたくなるほどよいレトロさがビールではなくコーラにさせるんだよな…。これ、adidasのOzweegoってラインのプロモーションでMVに相当する映像が作られているんだが*3それがめちゃくちゃかっこいい。フライングVをコンクリートの地面に引きずって火花散らしてる絵面に「だよね!!!!!」となる視覚化のうまさにも脱帽するしかなかった。


adidas Originals | Ozweego | DPR | 60"

Gravityみたいにはっきりエレキギター!ってわかる音作りをする曲、他だとこの辺が印象に残ってるなぁ。Heroは「マスターあれひとつ」というか、格闘ゲームのステージBGMじゃん…!イントロで絶対「Round 2, Fight!」って言うじゃん!って思いながら、脳内では「燃えたろ?」って言う彼がよぎりましたね…*4

Hero (feat. 한요한, Mckdaddy & Chillin Homie) by PULLIK

Hero (feat. 한요한, Mckdaddy & Chillin Homie)

Hero (feat. 한요한, Mckdaddy & Chillin Homie)

  • provided courtesy of iTunes

 

ユートピア感あふれる曲

宇宙でもバーでもなく、楽園に連れて行ってくれた曲はこの2つ。

I Wanna Be (feat. SOYEON) by KEY


KEY 키 'I Wanna Be (Feat. 소연 of (여자)아이들)' MV

One of those nightも好きなんだけど、KEYくんの声にはポジティブで余韻のある音色を合わせる方が私は好きでさ。この曲の雰囲気、おいでってする手を掴むと体が浮きそうな感じしません?ピーターパンみたいだよなぁ。

I Wanna Beは、リリースされたタイミングと、KEYくんがこの歌詞を歌っているという事がクロスオーバーしてしまいなんでかめちゃくちゃ泣いた記憶があるなぁ…。これFaceっていうKEYくんソロデビューアルバムのリパケのタイトル曲なんですけど、リリース日が兵役に行く日でさ、そんな日の置き土産にしていく曲の歌詞がこれなの。本当に、キーくん本当に…(´;ω;`)

いつも君のそばに

I wanna be

感謝しないくらいに当たり前になりますように

10歩も歩く前にぼくを見つけられますように

いつも君のそばに

I wanna be


いつも君の中に

I wanna be

寂しい時はぼくを思い出しますように

今この歌が終わりきる前に

いつも君の中に

I wanna be

 

Euphoric Forest by DIDI HAN

Euphoric Forest

Euphoric Forest

  • provided courtesy of iTunes

あちらが浮島ならこちらは神秘の森って感じ。霧が出ていてひんやりしていて、見たことのない木があちこちに生えててさ、奥の方の大木の影から6本のツノが生えた鹿がこっちを見てるよ…*5。曲名もEuphoric Forestで文字通りだった。DIDI HAN、梨泰院のクラブSoapでよく名前を見かけるのだけど、ここのオーナー達と同じクルー?なの?とてもきれいな音作りだったので、今年はDJやってるところも見れるといいなぁ。

 

▼両腕上がっちゃう曲

フェスやアワードで見て聞いて私がうおおーー!!!って湧いた曲のうちこれというものをいくつか。
Superhuman by NCT 127


NCT 127 엔시티 127 'Superhuman' MV

冒頭の「Yeeeaaahhh!!! Suupeerrhuumaaan!!!」は否応なしにあがるし、SMドルの曲で「Yeeeaaah!!」っていうフレーズがあるといつもスーパーヒューマァァァン!って言いたくなった。SHINeeぽいとか当初は色々言われており、確かにと感じるところもあるのだけど、イヤホンで聞くと多種多様な電子音がトラックに散り散りになっているのがわかっておもしろかった。フェスやコンサートで聞くと細かいところまで耳に入ってきたりしない事が多いので、イヤホンで聞くのとコンサートで聞くのとどっちも体験できると味わい深くなる。なるんだけど、味わい深さよりも何よりもやっぱり冒頭の「Yeeeaaahhh!!! Suupeerrhuumaaan!!!」のフレーズだけであああの曲でしょ?ってなれる超キャッチーさが一番な武器だなぁ…となったのであった。

ICY by ITZY


ITZY "ICY" M/V

Penomeco〜!!Penomeco売れた〜!!トラックリストが公開された時にクレジットを見て「餅ゴリ…Pen…?!Penomeco?!?」となった瞬間のことは今でも昨日のことのように覚えているな…。ラップメイキングをPenomecoがまるっと手がけていて、その時点で「うおおおーー!!」となるのだけど、鮮やかな自己肯定や「私は私!」となる歌詞にもスカッとする。そして何よりこの曲は年末のアワードステージが素晴らしかったんだ…MMAのマーチングアレンジ見ました?!私はあれを現地で見ており「ぺのめこが作ったラップがあんなに堂々たるアレンジになり目の前で華やかにITZYが披露していておれはもうだめだ」となりながら目頭を熱くし、「ぺのめこ売れた…😭」となったのだった。


ITZY MMA 2019 "WANT IT? + 달라달라(DALLA DALLA) + ICY"


▼着陸に際し高度を下げるよって時に聞いていたい

まさにソウルに着くフライトでこのパートを書いているのですが、この二曲は本当に良く合う。

Rain Shower (feat. Hash Swan) by LeellaMarz 

Rain Shower (feat. Hash Swan)

Rain Shower (feat. Hash Swan)

  • LeellaMarz
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

Rain Showerは旅先からの帰国の夜便の着陸の時、っていうイメージなんだよな。「あー楽しかった、あれは本当に傑作だった」っていう回想と、「帰ったら荷解きしなきゃな、うめさんお腹空かせてるかな」みたいに気持ちが日常に戻る様がいい感じに混ざっていて、ふうー、と一息つける。

今回Leellamarzめちゃくちゃピックアップしてるなぁと今気づいたんだけど、彼本当に声の表現が幅広くておもしろい。声色やトーンの変化がわかりやすいのでどれも同じ人によるものとは思えない。Hash Swanも同じで、彼は声色にかなり強めの特徴があるんですけど、ラップの表情の豊かさが面白くて好きですね…声質に耳が行きがちなのだけど、さっき取り上げた曲と正反対の毛色のこの曲にもスッとなじんで聞こえる事こそが、彼のラップにおける表現の使い分けの精度がいかに高いかを表しているなぁと思います。くそ、この曲の視聴でへしゅのラップにたどり着かないの悔しい…。ちなみにこの2人、ambition musikのレーベルメイトです。ニューイヤーバンジーを一緒にキメにいったりスノボ一緒にしたり、ステージでも一緒にちょけてたりしていて仲良し。コラボする機会も多いので、次の新しい共同作業に期待!

Take It Away (feat. PENOMECO & pH-1) by


아빈(AVIN) - Take It Away (Feat. PENOMECO, pH-1) Official M/V

こちらは旅先ではなく、帰省先とか出張先からまたいつもの街に1人で戻ってきた時に窓から覗く夜景をぼぉっと見てる、みたいなイメージ。同じ'日常に戻る'でもシチュエーションが少し違う…いつもとは違う日常から、いつもの日常に、戻ってくるような印象だったな。トラックの作り方や音色の選び方の違いでこうも頭に浮かぶ場面が違うとは、やっぱり音楽は面白いなぁ。

 

▼ねっとりしていて重い曲

独特のねっとり感と重力を兼ね備えた曲といえば、去年はSogumm & dressのコンビの圧勝の年だったなと思うのです。このコンビはアルバム編でも取り上げたんですけど*6、知ったきっかけはこの曲だった。

Baby (feat. PENOMECO & sogumm) by dress


Dress (드레스) - baby (feat. Penomeco (페노메코), sogumm (소금)) / [DF LIVE]

Babyについては2万字近いテキストを放り込んだ記事*7で触れてるのでそっちを読んでほしいんですけど、プロデューサーのdress先生によるSMドルへの曲提供がいくつかあり。歌い手の湿度と粘度のスキルスコアが+50とかになっていてすごく面白かった。

UN Village by BAEKHYUN


BAEKHYUN 백현 'UN Village' MV

Why by U-KNOW


U-Know Yunho (TVXQ) – Why 왜 | [Official_Audio]

何がすごいかって、誰が歌っていてもそこはかとなく漂う'dress'の匂いよ。重心が低く、決して天気は穏やかではない、目隠しでもされていそうな密室感。何がそうさせているんだろうな…私は空気感を表す言葉やその言葉を生む音色のことくらいしか話せないのでもどかしい。誰かに音楽的に分解してもらいたいなぁ…。

そしてdress先生以外の曲にも「重ッ」てなる曲はあるぞってことで、これを。

imfuckeduplotofdrunk (feat. Hash Swan) by EL Rune

imfuckeduplotofdrunk (feat. Hash Swan)

imfuckeduplotofdrunk (feat. Hash Swan)

  • EL Rune
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

曲名から既に重たそうな匂いがぷんぷんしてる…。EL Runeはこの曲で初めて知ったのだけど、声に特長があって印象に残る。なんていうか、深度が40mくらいあってのぞけばのぞくほど暗く深くなり光が届かなくなる、みたいな。この曲のビートがその印象を強くしているところもあって、なんだかズブッと行くんだよな。Twitterでは「触れたら最後」という表現をしたんですけど、それはそんなEL Runeの声も然り、そして客演のHash Swanのパートも然り。いやね、彼がすごい良い仕事しているんですよ…なのにこれも視聴でへしゅパートまで聞けない…。さっき別の曲でも触れた表現の違いがよくわかると思うのでぜひ探して聴き比べてほしいんですけど、じっとりした重たいビートにHash Swanの怠くてややうんざりした感情が籠められてそうな声がさ、まーーーーー良く似合うこと似合うこと………。高めの声で歌うところから入り、だんだんトーンが低くなりラップになだれ込む展開がぞくぞくする。これ絶対に歌詞がやばいぞ…と思い、彼のパートを翻訳にかけたところ、「今は退屈だ」に始まり最後がこんな内容で私は頭を抱えるのであった。何にも考えてないマン、めちゃくちゃ考えていてこわいこわい(´;ω;`)

私はあの時のように記憶を消した

愛を論じる時は明日が必要

私は私が覚えてないふりをしたことを覚えてるよ

Hash Swan、2018年は歌とラップを操る印象がそこまで強くなかったのだけど、2019年はびっくりするくらい色んなビートやトラックをこなしていてめちゃくちゃ器用だなと思った。シングル出したりもしていたけど客演がとにかく多かったせいもあるのかな…AOMGとの契約をかけたサバイバル番組Sign hereでMaddoxに客演した'Chemistry'って曲は別にねっとり重たい訳ではないのだけど、いつものキレの良いラップをかましたあと間髪入れずにシンギングラップ?をぶっ込んでくるので「う わーーーーー!!」ってなる。こんなに変幻自在だった?!という驚きがあったんだよな…

Chemistry (feat. Hash Swan) by maddox


사인히어 - Signhere, Chemistry [마독스 vs 오르내림] 마독스 (Ft. hash Swan, Prod. GRAY)

Maddoxはこの曲で知ったんだけど、はじめは女性の声かと思っていたのでステージ動画を見てひっくり返ってしまった。なんという中性的できれいな声なんだ...。これを聞いているとニューヨークラウンジでドライマティーニあたりを飲みたくなるので、前述の「マスターあれひとつ、となる曲」にもエントリーさせたくなる。この曲GRAYがプロデュースしているんだけど、このビートをMaddoxとやるにあたりHash Swan連れてきてシンギングラップさせるとか天才か?となった。最後にリズムが変わるビートそのものもめちゃくちゃかっこいいし、本当にプロデュースがうまいわ…。Hash Swanはまもなくフルアルバムがリリースされるので、2019年を経たアウトプットがどうなるのかとても楽しみ。

 

▼四季を連れてくる曲

音楽はそれをいつ聞くかによって受け取るイメージが変わるとおもっているのですが、その逆で、どの時期に聞いてもその季節を連れてくる曲というものもあるんじゃないかと思うのですよ。ここでは春夏秋冬それぞれを連れてくる曲を。

春:

Honey Bee (feat. PENOMECO) by dress & sogumm

ちょっとまずは聞いてほしい、話はそれからだ。

Honey Bee (feat. PENOMECO)

Honey Bee (feat. PENOMECO)

  • dress & SOGUMM
  • K-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

どう?どう??まごうことなき春じゃないです?!この'四季を連れてくる曲'ブロックはこの曲のことを書きたくて作った、みたいなとこあるのよ!すごいのこの曲!(大興奮)冒頭のsogummさんの歌とイントロは花を探して飛ぶ蝶々だし、Penomecoのsogummさんの声「flower flower」と被せて歌うところは蜜たっぷりの花めがけてまっすぐ飛ぶ蜜蜂の軌道のようだし、囁くような高いトーンで「Honey bee Honey bee...」ってするパートなんて花の蜜を運ぶ蜜蜂そのものじゃない??それこそPenomecoの声だってハチミツのような甘さでさ、この曲を聞くといつも花畑にいるような気持ちになるんだよなぁー。

夏:

FUN! by fromis_9


[MV] 프로미스나인 (fromis_9) - FUN!

みてよこれ!Fantaオレンジ!これはFantaオレンジCMとタイアップしないとおかしい!!トラックのしゅわっとはじける感じ、それに乗る声の軽やかさを、サビの「〜るるる♪」の語幹が繰り返し出てくる気持ち良さがぐいぐい増強させていて、このフレーズにこの歌詞を当てた人は天才!!!!となった。プールサイドでFantaオレンジを飲む時のテーマソングで間違いない。真横でウォータースライダーを滑ってきた人の水しぶきがキラキラしてるのがみえるよ…!

Bittersweet by 퍼프


[MV] 퍼프(PUFF) - Bittersweet

同じ夏でもこっちはタヒチやバリのリゾートの海沿いバンガローで、パーフェクトブルーの凪海を見ながらトロピカルジュースを一口、みたいな夏だな。MVめちゃめちゃ屋内でびっくりしてるけどww Puffくん、声も良いしトラックも軽めでとても耳馴染みが良いので気になったら他の曲も聞いてほしいなー。

秋:

Private (feat. IT'S) by Boitello

Private (feat. IT'S)

Private (feat. IT'S)

  • provided courtesy of iTunes

秋とアコースティックギター、私の中ではわかりやすく紐付いているのだけど、この曲はそこにさらに膝下まであるロングスカートを翻して踊りたくなるリズムにテンポ、そしてギターのカッティングとコードが彩りを与えていて、紅葉が秋風に舞い散りダンスをしているようなんですよ…!!(一息で言った)何よりこの曲、最後のサビでキーがあがるの…!在りし日のJ-POPを思い出してしまいとても気持ちが上がった。客演してるIT'Sのきれいだけどちょっとだけ憂いを秘めた声も、秋にふぅっとため息をつく一瞬の寂しさというか切なさというか、そういうスパイスとしてとても美しく作用していてさ。本当にすばらしい、すばらしく秋。

Boitello、2019年にリリースしたいくつかの曲も高い角度で私に刺さっており、今年どっかでライブやDJするところ(DJするタイプの人なのかすら知らない)を見られると良いなーと思っています。

冬:

Butterfly by BoA

Butterfly

Butterfly

  • provided courtesy of iTunes

今年もクリスマスを浮かべながら描かれただろう曲がたくさんあったのだけど、イントロのベルのような音を聞いた瞬間にウワーーーっと頭の中がライトアップされたのがこれだったなぁ。視聴にはイントロのベルは入ってないので、ぜひ探して聞いてほしい。何月に聞いても12月に戻ってこれる曲。安っぽいイルミネーションではなく、暖色灯がふわっと照らしていてさ、レンガ造りの建物のそばで開催されているクリスマスマーケットをゆっくり散歩する様子が見えますよね。あとなんていうか、このベースラインとリズムが私にとってはナイトフライトと紐づいてるんだろうなぁ。クリスマスに大事な人に会いにいくナイトフライトで、ふと外を見たら夜景がきれいでさ…みたいな絵が浮かんだりもした。

でもこれBoAの声だからこうなのであって、例えばテヨンとかだとこうはならない。頭に浮かぶのが'暖色灯がふわっと照らしてる'的なソフトエッジな絵になるのは彼女の声の特徴だよなぁ。上品で素敵な冬の曲だった

Blue by TAEYEON

Blue

Blue

  • provided courtesy of iTunes

そのテヨンの曲、あまりにもきれいすぎてあまりひっかかってこないのだけど、この曲だけはスゥッと入ってきてしばらく聞いてたなぁ。なんかさ、冬ってふいに「自分以外誰もいない、誰も自分のことに気づかない」みたいな、ぽつんとした気持ちになる事ないです?Blueはその、私にとってはひとりぽつんとなった時の心情を呼び起こすトリガーみたいな曲で、自分の思考にダイブするような感覚になるんですよね。BoAのさっきの曲のイントロがクリスマスの人の気配を連れてくるのに対して、テヨンのこれはイントロのピアノの入り方で周囲の人の気配や音をスッとミュートにするんだよなぁ。真逆。同じ冬でも対比が面白かったです。

New Year (feat. Paloalto) by Jason Lee


제이슨 리(Jason Lee) - New Year (feat. 팔로알토(Paloalto)) | 가사 | Official Lyric Video

アルバム編でも触れた、今年絶対に生で見るぞと決めていたJason Leeのホリデーシングルから。クリスマスが終わってから新年が来るまでの間の、華やかさは落ち着いたけどまだ浮き足立ってるトラックがまさにNew Yearって感じで、そこに乗るPaloaltoのラップの小気味の良さったらない!パロさんのラップ軽やかなので曲全体のお洒落さも度がすぎずちょうどいい。クリスマスイブにこれもmodeciで聞けたので、私にとっての正月は2019年12月24日です。

 

▼イントロオブザベスト

音源はなんでも一曲目から聞くので、二曲目を聞く姿勢を作るイントロ曲は私にとってはとても大事な曲なのです。今年も「おー!」となった曲があったので、それを二曲ほど。

Intro by IOAH

これ、Twitterに書いたことが全てなので引用しますね。


その上で聞いて欲しいんですけど、ど頭から聞けるリンクが本人のインスタのAudio Visualだけだったのでそれを。

…どうだろうこの試される13秒。私は割と聞けてしまうのだけど、この前頭葉をスキャンされているというか、回頭手術されているような展開がなんと5分続く(!)。13秒はいけても手術5分はなかなかじゃない?!ってなるんですけど、思い出してほしいんですよね…このアルバムのタイトルが「Phychofetish」っていうことを。超納得しちゃう。

Testing (feat. YUNHWAY) by IOAH

Testing (feat. YUNHWAY)

Testing (feat. YUNHWAY)

  • provided courtesy of iTunes

その手術を経てのタイトル曲が完全に飛んでいてすごい。繰り返される'hit hard with the beat go hard'、後頭部裏から誘い続ける少し気怠いユンフェイの声。低いトーンで言われるとなかなかにくるものがある。ちなみにこのアルバム、最後の曲がSalvationって言うんですよね…なんという癖に対するまっすぐさ…。

IOAHはWYBHのクルーメンバーでもあり、去年の11月からwavyのメンバーでもあるようで、このアルバムのExective Producerにはcoldeのクレジットが。IOAHはDJしてるところを見たことがあるんですけど、四つ打ちを通ってきている匂いがして私はとても好きだった。ずっと聞いていられる繋ぎ方で面白かったです。

Intro (Nostalgia) by VICTON

Intro (Nostalgia)

Intro (Nostalgia)

  • provided courtesy of iTunes

IOAHと真逆なのもいいところなVICTONのイントロは、レトロ映画でもはじまりそうな空気なのが良いのです。続く2曲目以降よりもこればっかり聞いてた。 11月リリースなので、紅葉を経てあたりの彩度が落ちていく時期にシンと空気が冷える温度感なのも、冬の始まりの知らせみたいで好きだったなぁ。

 

▼推しオブザベスト

ベストといいつつ全然各一曲に選べてないのですが、今年もSEVENTEENSHINeeは活動がなかったのでTAEMIN、そしてPenomecoからこれ!という曲を。

SEVENTEEN

HIT by SEVENTEEN


[M/V] SEVENTEEN(세븐틴) - HIT

サマソニはいかなかったので、夏のソウルコンでこれが聞けることを楽しみにしており、概ね本編の最後にこの曲がねじ込まれていたので「お前を待っていたんや!!」となった。ビッカビカに光るレーザーや照明を浴びて、気力が尽きる勢い(だが尽きないのですごい)でメンバーが踊り、こちらはうおーーー!!と両手を上げ、ペットボトルの水が飛ぶみたいな絵しか浮かばん!という曲で、ペンライトを振るだけで足りる?!足りるの?!?!っていう*8。サビは概ねwowしか言ってなくてオタクに名前を叫ばせる作りなのもワハハとなって良いし、叫ばせる内容もやたらハードで頭がおかしく、だがそれも良い。超コンサート向きの、何にも考えずに踊る阿呆になれる曲です。

それとね、セブチはもうひとつあるの。

Snap Shoot by SEVENTEEN


SEVENTEEN - Snap Shoot + Fear (독) [Show! Music Core Ep 649]

Fearの前のSnap Shootの方を見てほしいんですけど、ミュージカルの大団円みたいな曲でとてもセブチっぽい。私はこの曲の、1回目のサビ後の同音連譜のメロディーがとてもとても好きなんですよね。2'00あたりだと同音連譜は鍵盤が担うんだけど、手拍子と声で気持ちを上げていく感じ、天使にラブソングをみたいでとても高揚する。そして振り付けが本当に本当に良い。動画を見始めてから久しぶりに音楽番組行脚をしてしまい、解釈がスーパー一致したジョシュアのスタイリング*9を見て「アイドルでいてくれてありがとう」みたいな気持ちになった。

Snap Shootの面白さは際立つ個々の声色と声質なんだよな。さっきの1回目のサビ後の同音連譜のメロディーのところ、あれはディノ*10が歌っているんですけど、私あそこは彼の声で歌うことでいっそう記憶に残るパートになっていると思っているんですよね。ディノちゃんの声は、声色が生み出す雰囲気のバロメーターがどれもバランスよく高くて、それを引き出して色を付けるの上手でさ、芯が通っていて適度な太さや硬度があるのでメロディーが立つし、ちょっとざらっとしているので記憶に残る。このパートにおいてはウジくんやジョシュアの声では繊細すぎるし、ヒポチの声では強すぎるのよ。でもこの人たちにはこの人たちが活きるパートがちゃんとある。このトラックにこの人の声がはまることで出来上がる空気というものがあるとして、この曲はそれがとても気持ちよく設計されているなぁと。高くて抜けの良い声の後に圧のある声で着地させ、サビに向けて盛り上げていくところで低い声を差し込んで地面から盛り上げていく。ウジくん本当にプロデュースがお上手。人の声こそ楽器だなぁと思える曲です。

 

TAEMIN:

Shadow by TAEMIN 

Shadow

Shadow

  • provided courtesy of iTunes

2019年、特に上半期のテミンさんは本当に良い濃度だった。WANTめちゃくちゃ聞いたし、こんな爬虫類の妖気で埋め尽くされた狂気のトラックとMV、滅多にお目にかかれるもんじゃない。むちゃくちゃハードなコンセプトをノーナルシズムでやってのけるのがテミンさんの凄さなんだよな…あの蛇CGじゃなくて本物なんだっていうし、本当になんなの…


TAEMIN 태민 'WANT' MV

そんなWANT…ではなくShadowをピックアップしたのは、このWANTが収録されたミニアルバムや去年日本でリリースしたアルバムの曲を含んだ構成で作られたソウルでのコンサート「T1001101*11」において、Shadowを含むブロックの演出が目に焼き付いて離れなかったからです。

友人にはよく話すんですけど私このコンサートが本当に本当に好きで。日本でのホールツアーSirius*12までの過程とWANTを経たからこそ到達した演目と演出だなと思っていて、ちょっとこれまで私がみてきたあらゆるコンサートの中でも次元の違う仕上がりで本当に凄いんですよ。その演目の中でもとりわけイテミンの癖が爆発している演出がHoly Water→Heaven*13→Shadowの3曲連続ブロックなんですけど、ちょっと私のツイートを見てほしい。一つ目がソウルコンでの初見の私で、二つ目が年末の日本公演で再会した時の私です。

Holy Waterのデモ曲を聞いたときに「すぐに気に入った、コンサートの最後を飾る曲だとすぐに思った」となるテミンさんの感性が炸裂しているんですよね…Shadowはそのブロックの締めにあたる。従者(という名のバックダンサー)による入れ物のようになったテミンさんを神格化するような振り付けがされていてね…ペンライトがトーチに見えてきてしまい、待って待って行かないで概念にならないで…!!ってしてた時の記憶がありありと蘇るんです、この曲を聞くと。

テミンさん、2020年はソロでのカムバックを控えたうえになんとSHINeeとしての活動もあると明言しており、とてもとても楽しみにしているのです。また強烈なやつをお見舞いしてほしいなー。

ちなみに日本でリリースしたアルバムのこの曲も好きですごくよく聞いたんですよね…

Famous by TAEMIN


TAEMIN 'Famous' Performance Ver.

すごく好きだしよく聞きはしたんですけど、いざピックアップして書こうとしたら「すごいかっこいい」しか書けなかったのでメインでピックアップはやめた笑 Famous、クラブで聴きたくなる低音で良いんだよな。私はこの曲と、岡村靖幸プロデュースでMEGが出したなんとなく雰囲気の近いTRAPって曲をセットでずっと聞いていた。これ、2019年の年末音楽番組で韓国語バージョンが披露されていたので、次のアルバムに入るんだろうなぁ。


[예능연구소 직캠] TAEMIN - Famous, 태민 - Famous @2019 MBC Music festival 20191231

 

Penomeco:

2019年5月までに出た曲については別の記事にほぼ網羅する形で触れてあるんですけど、そこから先も本当に、本当にずっとリリースが続いていたPenomeco。本人も雑誌のインタビューで「2019年は絶え間なく存在を知って欲しかった。あとから振り返ってみてびっくりする量の仕事をしてたw」みたいなことを言っていた*14。一つ一つ触れたいところなんだがキリがないので3つ(3つも?)…

MSG (feat. PENOMECO) by Dynamicduo


다이나믹 듀오 (Dynamicduo) - 맵고짜고단거 (MSG) (Feat. 페노메코 (PENOMECO)) MV

ダデュに客演!?しかもタイトル曲だぞ…?!となり、全ペノメコペンが泣いた。ダデュのアルバム自体とても聞き応えがあって、客演も豪華で、一曲一曲のキャラ立ちがものすごいんですよ。そんな中でもPenomecoの声はこんなにも特長があってこんなにも華を添えられるのか…!となった。歌番組にダデュが出演した時にこの曲を披露していたんですけど、Penomeco抜きだったんですよね。それ聞いて、やはりあの声そのものが武器なんだなという気持ちを強くした。

MSGはさ、Aproさんの攻めっ攻めビートからもPenomecoの力のこもった強めのラップからも「やってやるぞ!!」感が伝わってくるし、それに対してダデュの「かかってきたまえ」感がバッチバチしてるのも超楽しい。今年のPeomecoの客演仕事の中で一番遠慮なしに真っ向からぶつかってるようでもありそれもまた良き。フェスではペノパートを切り出して披露してくれるんですけど、「これはやっぱ、完全体のステージが見たいなぁー」と思った*15。今年もどこかでコラボチャンスがあるといいなぁーー。

Movie by PENOMECO


[MV] 페노메코(Penomeco) - 영화 한 편 찍자

これ、Penomecoがラップを封印して歌一本で勝負した曲なんです。この曲だけで一記事書いてるので詳しくはそっちをみてほしいんですけど*16、Penomecoの繊細な言葉選びと丁寧に情景描写させようとするトラックとその描写エンジンに燃料を注ぐ歌い方なので、ラップがうまくてすごい!!!となってる人にに「ラップだけじゃねんだぞペノメコは🔥🔥🔥」と言って聞かせてあげたいのがこれです。本人としても渾身の曲だったようなのだけど、リアクションが思ったほどではなくシュンとしたと聞き、やはり感じたことはきちんと届けないといけない……とオタクは姿勢を正すのだった。

それと、待望の音源化という点ではこれも。

Do Ma Thang by PENOMECO

Do Ma Thang

Do Ma Thang

  • PENOMECO
  • ヒップホップ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

Cocobottle同様、プロデューサーにAproさんを迎えた、ペノアプの空気感といえばこれと言わんばかりのDo ma thang。breakersで披露されてから一年半くらい…?とにかく研磨に研磨を重ねて音源になっていて私は泣いた。これ是非解像度の高いイヤホンで聞いてほしいんですけど、こまかーーーいこまかーーーい、でも耳に残る音がちょっと違うだけでbreakersとか2019年の単独コンサートの時とすごく印象が変わるの。シャッター切ったあとキュイーンってする音もスクラッチする音も削られたことで、バイオリン弾くような細かい音がちょう聞こえるし、ステージでは目詰まりする密度だったところを、音源になってクリアになった分トラックの隙間ができて、そのトラックの隙間の向こうにめちゃくちゃ絵が見えるんですよ…。音数が減った分曲の解像度がグンとあがり、ペノアプそれぞれの表現が研磨された事がはっきりわかってすごい。聞いた時は本当に大興奮だった。

breakersの時はリズムがバンド音っぽくて花嵐みたいだったんだけど、音源だと密度が高くない分花園の全貌がはっきり見えるっていうか…ジャズタッチのピアノの音のせいで小鳥鳴いてんのに日を隠すし、なんてゆーか、真夜中の秘密の花園のようなんですよね。かと思ったらアラーム音なるし、いやーーすごい。リズムの入り方もこんなに抜けあったっけ?ってなったし、イントロから奥行きが深くなったり浅くなったりするのもステージだけではわからないわけでさ…。なんていうか、ステージと音源はやはり違う。ビジュアル化エンジンがガンガンかかるのはやっぱ音源だよな…。ちょう楽しくて過去イチシークバー触って音探しをした。歌詞は全然そんな内容ではないんですけど、真夜中の秘密の花園花嵐が吹く(?)のでぜひイヤホンで聞いてほしいなー。

この曲が収録されているシングル、naflaを客演に迎えたSeñoritaも良いので合わせて聞いてね…ペノメコペンからのお願いだ…

if. - Single

if. - Single

  • PENOMECO
  • ヒップホップ
  • ¥306

 

▼2019年に一曲だけ選ぶとしたら

2018年のLullabyみたいな圧倒的な曲は2019年にはなかったんですけど、振り返った時に「これは本当によく聞いたなぁーーー」となった曲はこれでした。

Feeling (feat. PENOMECO) by JEONG SEWOON


[MV] 정세운 - Feeling (Feat. PENOMECO) (JEONG SEWOON)

セウン氏、私にとってはちょっと特別なんですよね。よく聞いた曲2017年版の記事*17を是非読んでいただきたいんですけど、私彼のデビュー曲*18がきっかけで、所謂K-hiphopR&B界隈に興味を持つ事ができたので。そんなセウン氏の曲にすっかり推しと化したPenomecoが客演するっていうから、当時の私は「待って?!?!?!」となっていたわけです。人生交差点だ…。

で、このFeelingって曲なんですけど、とにかくPenomecoのカットインの仕方と言葉の載せ方が好きで好きでたまらなくて、聞くたびに「恋が始まってしまう!!!!」って言っていた。4拍子で刻んでいたリズムが次第に細かくなり、ラップも跳躍してさ、歌に変わるところでファーーーっと桜が散るのよ…!これ、この曲が春にリリースされたってことも抜群にプラスに作用しているんだよな。MVでも桜がひらひら散っていて、これを聞いている私も桜がひらひら散っている川沿いを散歩したりしててさ、ほんとにPenomecoがいつカットインしてきてもおかしくなかったよ…(?)。2019年の春はこの曲なしでは語れない、ってくらいずっと聞いていたなぁ。

この、セウン氏の爽やかでキラッキラなトラックに対して、MSGやBabyともDo ma thangとも違う出力ができるのがPenomecoの良さであり、私がPenomecoを好きな所以なんですよね。歌詞も見てほしい、「わかるでしょ、未熟な僕だけど君だけを見てるよ」なんてアイドル顔負けの甘々な歌詞を書く人と「Fuck up great hunger」って強烈な歌詞を書く人が同じと思わないからさ。


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はーーーーー書いた、書いたぞーー。一年分の曲を振り返る記事は今年で3回めになるんですけど、年を重ねるごとに自分の好みの輪郭がどんどんはっきりしていくのが面白い。2020年はPenomecoやZICO、CrushにDEANらがみんな兵役に行ってしまう*19さみしさもありつつ、留守の間に台頭する人たちに期待もしつつ…。一年後にどんなまとめをするのか楽しみだなー。


最後に、この記事で取り上げた曲をまとめたプレイリストのリンクを貼っておきますね。良きに活用してね!

‎ねぇさんの「2019年によく聞いた曲ピックアップ(2/2) - 曲別編」をApple Musicで

 

▽ところで…

去年FANXY CHILDのコンサートに行った後、いろいろな要因があって*20、文字通り転げ落ちるように「ヒョク」呼び*21をするDEANペンになってしまったんですよね私…。声を大にして言うのがなんだか気恥ずかしくてTwitterではそこまで騒がないようにしてるんですけど*22…。私の中で一線を超えない(一線を超えない…?)ための決まり事として「人間性に興味を持たない」があるんですが、過去最高に人間性に興味を持ってしまった一番よくない例が彼です。どうしてこうなった。

そんなDEANが2019年最後に放った客演曲が最高の目覚めの一曲なので聞いて…視聴の最後にDEANパートが少し入ってるから…!

Wake Up (feat. DEAN) by Crush

Wake Up (feat. DEAN)

Wake Up (feat. DEAN)

  • provided courtesy of iTunes

2019年12月に出演したフェスでアカペラで自分のパートを歌ってくれたのを受け、「アーーーーーーーだめだーー」と口から漏れる私の動画をもちましてこの記事の締めといたします…。ほんと、もうだめだ……。

 

 

*1:実際そうで笑った

*2:waltzsofa recordsというようですhttps://instagram.com/waltzsofarecords

*3:もちろんDPRが映像作っている

*4:KOFの彼です

*5:シシガミさま…

*6:Not my faultのことだよ

*7:Penomecoをどうかよろしく ※5/12加筆 - デンプシーロール(改)

*8:私は足りない

*9:動画を貼り付けた、Show! Music Coreのジョシュア

*10:セブチ最年少、パフォーマンスチーム

*11:2月終わりにキノキットで発売されるので絶対に買ってください

*12:舞台を見ているような超濃厚なコンサートだった

*13:未音源化の新曲

*14:좀 다른 페노메코 | 얼루어 코리아 (Allure Korea)

*15:ダデュ単独コンサートではペノがゲストで登場し、完全体が披露された

*16:「映画一本撮ろう」がリリースされました - デンプシーロール(改)

*17:K-POP一年生が2017年に良く聞いた曲ピックアップ - デンプシーロール(改)

*18:Just U

*19:92年生まれ

*20:インスタライブ中に階段から落ちるアーカイブ動画を教えてもらったり…

*21:DEANの本名はクォンヒョクです

*22:年始に、おでこに謎の黒い丸がついているのを発見し怪訝な顔をするストーリーに大騒ぎした人が言うことではない

2019年によく聞いた曲ピックアップ(1/2) - アルバム編

2017年に韓国カルチャーにどぷんとつかってから早3年。毎年よく聞いた曲ピックアップをしはじめて3回目になりました。あっという間だな。もはやK−POPばっかりではなくなってしまったので「K-POP○年生」の冠は今回からとってしまった。

2019年にいいねした曲はTwitterにスクショを乗せ、 #ねぇさんpick2019 のタグと共にずっと記録をつけ続けてきました*1。雑にではあるけどそれなりの量を聞いたし、個人的にアルバムの収録曲でこれ好き!率が高かったものはアルバム単位でいいねしたりもしたんだよな。その、いいねした曲を大晦日と元旦にざっと聞き直していたんですけど、印象深かった曲はちゃんと覚えてるのに、その場でいいなと思っただけだった曲は全然覚えてないの面白かった…。最終的にまとめに書くぞ、と決めたものはトリッキーな曲やジャズ/ハウスっぽいもの・私にとって新鮮な音作りをしてるもの・そして例年通り絵が脳裏に浮かびやすいものなんかがピックされ、私の好みが可視化されたな…となりました。

さっきも書いた通り、アルバム丸ごと良い!となったものもあるので、せっかくだし今年は曲単位とは別にアルバム単位でもメモに残そうかなと。音楽的な話は適当にしかできないので、とにかくずっと私が感じた事の例え話が続きます。あしからず。アルバム編→曲ごと編の順番で早速やっていくぞ。

※いいねした曲の全曲リストはMelonに置いてあるので、見れる人がいたらどうぞ。

 

<アルバムピックアップ>

好き!!となる曲が多かったり、全体を通して何度も聞いたものを時系列順に。全部で12枚あります。

 

Block B - BASTARZ 「I'm a mess.」

I'm a mess.

I'm a mess.

  • Block B - BASTARZ
  • K-Pop
  • ¥1833

ブロビ=治安悪い、という安直なイメージしか持ってない私、BASTARZも治安悪いんだろうなぁと思いながら聞いたMessed Upで泡を拭いてしまった。雑踏で火をつけるタバコ、孤独なサックスとピアノ…おとな…!イントロの位置付けであるこの曲から続くHelp Meが見事なほど上品でおしゃれ。上品でおしゃれなんだけど、時折入る吐き捨てるように歌うフレーズを聴く度に「やはり今でも圧倒的に喧嘩が強い…足技がピカイチだ…」という妄言が脳裏をかすめるのだった*2


블락비 바스타즈(Block B BASTARZ) - 'Help Me' Official MV

前作のMVも見たんですけど、Make It Rainの遠慮ない治安の悪さを見ていると、その妄言もあながち間違いではなさそうだなとなるんだよな…あれから時間が経ち今は足を洗ったが…みたいな…(?)。Make It Rain、Deanが作っていてマジでという驚きがあった。


블락비 바스타즈(Block B BASTARZ) - Make It Rain Official Music Video

それはさておき全体的にメロウなのも良く、Easyでその雰囲気を強くし一区切りついた後のソロ曲もスッと入ってくる並びになっているのも、アルバム構成として💯だった。先にLet's Rideが来ていたらループして聞いていたかわからない…曲の並び大事。Ja MezzがそのLet's Rideの、PunchnelloがRecognize*3の客演をしていて、既に盤石な土台をいっそう強くしているのも良かったな。イントロにあたる曲以外はほぼ自分達で作っていて(すごい)、当時の私のTLで「こういうのやりたかったんだなぁ…やれて良かった…😭」となってる人を見かけた記憶があり、良い話…となったのだった。

最後にコンセプト写真やアートワークも見てほしい、完全に解釈が一致する薔薇*4の使い方で清々しい。何もかもがバチっとはまっていて本当に本っ当に気持ちが良かった!

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Fisherman 「Well Being」

Well Being

Well Being

  • Fisherman
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥917

これ、IDMというジャンル*5にカテゴライズされるようだとえりかさんのツイートで知った。収録曲のうち人の声が入るのは2曲だけなんだけど、それも含めてトラックがめちゃくちゃ美しく、あんぐりしたまま聞き続けていた。私は二曲目のSilkが好きなんだけど、まずは聞いてほしい。↓の1:00あたり。


[Full Album] Fisherman - Well Being / 앨범 전곡 듣기

精神と時の部屋みたいな一面真っ白な部屋に放り込まれたと思ったら、ガラスのようなタイルがバラバラとこぼれて視界が抜けて流氷が現れ、「…?!」となって振り返ったらその流氷の上を巨大な鯨が飛んでる、みたいに聞こえないですかね…*6。他、CellやRiftなんかもダイヤモンドダストを捕まえてギュッと結晶にしたような音密度の曲ばかりで、いたく感動してしまった。

Cell

Cell

  • Fisherman
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥255

その昔、歌やラップなしの5曲合計1時間のアルバム*7を嬉々として聞いていた時の感覚が呼び起こされた感じがした。韓国にもこういう曲作る人がいるんだ…と知れたことの嬉しさがあったなー。

ちなみに歌やラップが入っている2曲のうちの1曲、MicroscopeにはGiriboyが客演しています。ギリくんのソフトなラップの高浸透率がめちゃくちゃ気持ちいい。これを書いてるのは1月2日の午前中なのですが、今日みたいな天気の良い冬の日に聞くのがぴったりだなぁ。

Microscope (feat. GIRIBOY)

Microscope (feat. GIRIBOY)

  • Fisherman
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥255

ギリくんの客演、WYBHってクルーのクルーメイト同士の縁って事なんですかね。WYBH、Fisherman以外だとCosmic boyやIOAH、あと2019年の途中から、Penomecoの良き理解者でありプロデューサーのAproさんも参加したようで、個性的なメンバーが揃ってて面白いクルーだなーと思います。今年はまとめてお目にかかれるチャンスがあるといいなー。

 

SUMIN 「OO DA DA」

https://music.apple.com/jp/album/oo-da-da-ep/1473217171?at=10l8JW&ct=hatenablog

SUMINちゃんがクレジットに登場するとどんなトリッキーなトラックがくるのか期待してしまう癖がついてるのだけど、このアルバムでその気持ちをより強くした。時間を止めると奇妙な形をした音が不規則に宙に浮いてるのが見える、みたいな印象で、この編曲の感性をどうやって育てたのかめちゃくちゃ関心があるんだよな…。

アルバムの曲をどれかピックアップして話すのもはばかられるくらい、全部の曲がどれも様子がおかしい(ほめてる)ので、まとめて聞いてくれとしか言えない…。収録曲をちょっとずつMVに落とし込んだ映像があるんだけど、一つに絞ることができないアルバムのイメージがそのまま可視化されていてカオスで良いのでみてほしい。耳から脳みそをハックされているようだし、ずっとパルプンテをくらっているような気持ちになる。


[MV] SUMIN (수민) - [OO DA DA] EP / Official Music Video

収録曲のうち一曲だけbalming tigerからOmega Sapienを客演に迎えている曲があるんですけど、浮くことなくなじんでいてそれもすごい。「なじめるんだ…」って声に出たもんな…視聴だとOmega Sapienパートにたどり着かないので音源でなじんでる様を確認してほしい…

https://music.apple.com/jp/album/pocket-feat-omega-sapien/1473217171?i=1473217176&at=10l8JW&ct=hatenablog

2019年はSUMINちゃんのライブを見る機会が2回?ほどあったのだけど、すごく小柄なのにあのきれいな声がまっすぐ飛んでくるのすげぇ、となった。トラックがトリッキーなのに声はめちゃくちゃきれいなところのバランスよ、面白いなぁホント。

 

KIRIN 「YUNU IN THE HOUSE」

YUNU IN THE HOUSE

YUNU IN THE HOUSE

  • KIRIN
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥1222

四つ打ち三昧だ最高!!!絶対にクラブで聞きたい!!!となったアルバム。アルバム名にYUNUとあるように、KIRIN名義だけど全曲にレーベルメイトのYUNUがプロデューサーとして入っていて、IN THE HOUSEってだけあって収録曲が全部ハウス…泣ける…出会えてよかった…😭客演の選び方も良くて、軽快なトラックに対してのsogummやyouraっていう湿度の塊みたいな声の人を当ててくるセンスよ。好きです。

Good Day Gasnah (feat. Sogumm)

Good Day Gasnah (feat. Sogumm)

  • KIRIN
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥255

youraが客演しているYay Yay YayはMVがあるので貼っておきます。レトロで良き。


KIRIN - YAY YAY YAY feat. 유라(youra) (Official MV)

私はこのアルバムがきっかけで8balltownを知るのだけど、8balltownのインスタストーリーでこの動画に出会ってしまい、もう絶対に!!絶対にJason Lee生でみる!!!😭😭😭と心に誓うのだった。

この曲、アルバムに収録されている曲であってるよね…そうでなくてもめちゃくちゃかっこいいので聞いて…。Jason Leeと8balltown、最終的に2019年のクリスマスイブに弘大のクラブ(MODECi)で開催された、自身主催のイベントにて生パフォーマンスを目撃することができ、まじで幸せだった😭

Temptation (feat. Jason Lee)

Temptation (feat. Jason Lee)

  • KIRIN
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥255

2019年は8balltownからのリリースがたくさんあったんです。秋先にリリースされたレーベル名義でのSlow Stepってアルバムもとても良かったし、BronzeのEast Shoreも良きシティーポップだった(アートワークに永井博のイラストを採用する徹底ぶり)。本当にピックアップするのに困る。せっかくなのでEast Shoreで好きなやつ貼っとくので聞いて…ELO氏の声、こういう曲にも合うのすばらしいなぁ。


Bronze - Bubble with ELO, SUMIN

 

GroovyRoom&Leellamarz 「ROOM SERVICE」

Room Service

Room Service

  • GroovyRoom & Leellamarz
  • K-Pop
  • ¥1681
 

リード曲のRoom Serviceがとにかく、とにかく良いのです。ホテルのラウンジでチェックインしてる様子だったり、屋外が見えるエレベーターでスイートルームに向かっている絵だったりがいくつもフラッシュバックする。Leellamarzの声はちょっとしゃがれているのだけど、特徴のある声だからこそものすごく絵が膨らむんだよな。直前にひどく振られて1人でチェックインしてるようにも、ものすごい美人と一緒にチェックインしてるようにも、孤独を抱えつつ古巣に1人で帰郷しているようにも、いかようにも聞こえてすごく面白い。


Room Service

アルバムの入り口の曲でこれなので、続く曲への期待値がぐんぐん上がるのだけど安心して良い。これを受けての2曲目、City Lifeでも聞く側の想像をバーーーンと広げてくれるので本当に最高。MVがあるので貼っておきます。


도시 생활 (City Life) Official Video - GROOVYROOM X LEELLAMARZ

今回の記事で度々登場するyouraを客演に迎えたColorも、映写機を回してレトロ映画のワンシーンを見ているかのような空気感で、'ROOM SERVICE'っていうアルバムだからこそのシチュエーションの映像が頭にどんどん生まれていくんですよね…たまらんなまじで。一方でJay Parkを客演に迎えたKick thatのような太めの曲もあって、映画さながらの曲並びが本当に素晴らしいなとなる。

Color (feat. Youra)

Color (feat. Youra)

  • GroovyRoom & Leellamarz
  • K-Pop
  • ¥255

Kick thatはVisual Filmなるものがあるのでそれを。


'Kick that' Visual Film (Feat. Jay Park) - GROOVYROOM X LEELLAMARZ

とてもお気に入りのアルバムなので、友達にお願いしてフィジカルアルバムを買ってきてもらいまして。ベルベット地のハードカバーで、本当にルームサービスのメニューみたいな作りになっており「行き届いてんなぁー!」となったのでした。

f:id:dainouti:20200104200711j:image

ちなみに(まだ書く)、このアルバム、ミーティングやレコーディングの様子がVLOGとしてGroovyroomのYoutubeチャンネルに掲載されています。トラックができてくの素直に超おもしろい。↓では4:25あたりからColorのトラックメイキングが、他のVLOGではViolinist Freestyleって曲でLeellamarzがバイオリン弾いてる様子や*8他の曲のレコーディングの様子も見ることができるので時間がある時にぜひ。


하이어 X 앰비션 첫 콜라보 앨범


즉석에서 곡 만들기

 

dress&SOGUMM 「Not my fault」

Not My Fault

Not My Fault

この2人のタッグ、というだけでヤバいアルバムが来るぞ…となっていたのだけど、本当にヤバい。音選び転調サンプリング…とにかく癖が強いトラックに、水銀の中を泳いでいるような特濃声の応酬で、特に冒頭の2曲は息をすることも許されない。古びたグリム童話から悪夢がウワーーーっと出てきたみたいなすごさで、なんか、夢に出てきそう。ちょっとDreamer,Doer聞いてみてほしい。


[MV] dress & sogumm - Dreamer, Doer

あんぐりしていたら3曲目のI Wonderで呪いを解くようなゴールドシャワーを浴びせられるのだが、この時点で感情が忙しいくて本当に困る。これJay Parkが客演しているのだけど、歌うと甘い社長の声によって煌き増し増し。終盤に突然転調する展開もおもしろいので、ぜひ最後の最後まで聴いてみてほしいなぁ。


[MV] dress & sogumm - 궁금해 (Feat.박재범)

そのI Wonderと並んでタイトル曲になっているのがPenomecoが客演しているHoney Beeなんですけど、個人的には今年のPenomeco客演曲の中でもMVPにするかどうかな出来で最高だった。I WonderがゴールドシャワーならHoney Beeはフラワーシャワーって感じ。もしかしてGarden*9を受けてのHoney Beeってタイトルなの…?とすら思いたくなる'香る曲'に仕上がっていて感動する。是非イントロから聴いて…イヤホンからはちみつの香りがするから…!

Honey Bee (feat. PENOMECO)

Honey Bee (feat. PENOMECO)

そんな🐝の後に続くMoonlightではG線上のアリアがサンプリングされていて「癖が強い!!!」と叫んでしまった。ただ、穏やかな曲展開はこの辺りまでで、bridgeとなる曲を挟んでまた悪夢のグリム童話に戻っていく運びとなり、更にはMokyoを客演に迎えたDearでどうしようもなく混沌としてしまい、最後にPretty Bitchで締める、という…。えっアルバム名の'Not my fault'ってそういうこと?!ってなった(多分そういうことじゃないとおもう)。

Dear (feat. Mokyo)

Dear (feat. Mokyo)

友達が何かの折に教えてくれたんですけど、dress、元々YGのブラックレーベル出身だそうで。なるほどこのプロデュース力はそこから…!と納得感を強めた。

sogummはこの後自身のみの名義でもう一作品リリースするのだけど、私はdress&sogummのコンビが好きなんだよなぁ…。ねっとり濃い仕上がりになるので好みが分かれそうではあるけれど、引っ掛かりのある曲が好きな人は間違いなくはまる組み合わせだと思うので、気になる人は掘ると良いと思います。

 

Jerry.K 「RED QUEEN THEORY」

Red Queen Theory - EP

Red Queen Theory - EP

  • Jerry. K
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥611

私がアルバムごといいねをしたものは一曲目を絶対に外さないんだな…。このアルバムも然り、掴み1秒でこれは絶対に好きなやつだ…となった。強めのウイスキーを煽りたくなるかっこよさなので、CLICHEのタイトさに痺れた人は他の曲も絶対に裏切らないので全部聞いてほしい。I Want Yaなんて西部劇の早撃ちの劇伴に使われていそうな渋さだし、Nice Vibeだって酒場の樽をテーブルにして「お前にとってのナイスバイブスはなんだ?おれの場合はな…」って談笑するシーンじゃんとなるし(談笑するかは別として実際にそういう歌詞でもある)、なんかそういう映画に見えてくる。Full Lyric Videoがあるので貼っときますね。CLICHEのイントロちょうかっこいいのでど頭から聞いてほしい。


JERRY.K - RED QUEEN THEORY EP (Full Lyric Video)

でもそれ一辺倒じゃなくて、この間に並ぶ2曲が今って感じの雰囲気なんだよな。それが概ね交互に登場する曲並びになっていて、だからなのか、一周をスッと聞けちゃう。CLICHEの後にParadeが来る展開が私はすごく好き。Paradeには'we walk this city ◯◯'ってフレーズが繰り返し出てくるんだけど、早歩きする位のテンポなので、聞きながら歩くと気持ち良いよ!

Parade

Parade

  • Jerry. K
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥255

Jerry.Kは2018年の後半に2回ライブを見ていて(しかもどっちも@東京)、どっちもかっこよかったんだよな。Apple MusicによるJerry.Kの紹介によれば彼の良さの一つは歌詞だということなので、私は今年こそちゃんと韓国語を勉強することにします…

 

Panda Gomm 「sleeptalking」

https://music.apple.com/jp/album/sleeptalking/1483897668?at=10l8JW&ct=hatenablog

なんつー幅の広さだよ!!となるくらい、曲のバリエーションが豊富で噛み応えのあるアルバムだった。インスト曲以外は全部客演が入っているのだけど、名だたるメンツが並んでいてそっちのバリエーションも豊富。

Strawberry MilkからRomanceまでの4曲は穏やかだったり軽快だったりと、陽の印象を受ける曲が続く。Friendsでは東洋の香りがするバイオリンの音がしたり*10、Romanceもコントラバスの低音とテンポの良いトラックが気持ち良い。


[Panda Gomm] Friends (Feat. Leellamarz, CHANGMO) Lyrics Video

https://music.apple.com/jp/album/romance-feat-jeebanoff-b-jyun/1483897668?i=1483897673&at=10l8JW&ct=hatenablog

気持ち良いんだけど、Bartenderって曲を挟んで別のアルバムのような曲が次々に現れる。なんだなんだ、バーで何かあったのか…?と思いながら聞いたAmericanoって曲がすごい。さっきまでいちごミルクが云々とかロマンスがどうのって言ってたじゃん!?甘さどこいった?!ってなるようなどぎつい苦さ。

https://music.apple.com/jp/album/americano-feat-leellamarz-ash-island-owen-ovadoz-spray/1483897668?i=1483897675&at=10l8JW&ct=hatenablog

Hash SwanとVINXENが客演してるPray Emojiも冒頭からラップの応酬で、すごみのへしゅからの怒りのビョンジェって感じの強い展開がかっこいい。かっこいいんだけど、やはり前半の流れを踏まえて聞いているとクソって思うことでもあったのか?!ってなる。

https://music.apple.com/jp/album/pray-emoji-feat-hash-swan-vinxen/1483897668?i=1483897796&at=10l8JW&ct=hatenablog

この曲の後に、孤独…!って感じのBetter Man、悟りを開いたのかな…となるTill We Get Lostを経てLullabyで締まるのだけど、この記事を書きながらPanda Gommのインスタを見ていたらアルバムティザーにあたる連投を見つけたの。あーーなるほどとなる内容だったので、曲聞く前に見てほしい。

https://www.instagram.com/p/B5dB-CRJ9Gk/?igshid=10pfe3gqqr2hb

これがなんと全曲分あるんだけど、Bartenderはやっぱり前半後半のブリッジにあたる曲なんだなぁ…と理解を深めた。そして諸々の曲を一つのアルバムにした時の冠として「Sleeptalking」と名付けるセンスよ。ほんと、おもしろいアルバムだったなぁ。

 

Samuel Seo「The Misfit」

The Misfit

The Misfit

  • Samuel Seo
  • R&B/ソウル
  • ¥1833

「すごいトラック数のアルバムを準備している」と本人が話していたように、たっぷり15曲(LPだと+3曲)も収録されていた。これは聞くのにエネルギーがいるぞ…となったのだけど、聞く曲聞く曲みんな良くてあっという間に聴き終わってしまった。どんなアルバムだったかは当時の私のツイートに集約されているのでこれを見て…

どんな要素がそうさせているのかまだ言語化できていないんだけど、アフリカのサバンナを彷彿とさせるんだよな。ツイートでも書いているように、大地の鼓動が聞こえる…!みたいな印象だった。でも別にエネルギーの塊みたいな曲ばっかりじゃなくて、例えばSomething & Nothingは情景として灯りのない夜の静かさが浮かぶし、

Something & Nothing

Something & Nothing

  • Samuel Seo
  • R&B/ソウル
  • ¥255

playaplayaplayaは夕暮れに凪いだ海をぼぉっと眺めている時の気持ちにも似てる。


서사무엘 (Samuel Seo) - Playaplayaplaya (Samuel ver.)

どの曲もこんなふうに、どことなく自然に繋がるビジュアルが生成されるので、先のツイート(ナショナルジオグラフィックさんははよタイアップして)になったんだよね…。中でも「これはアフリカの夕暮れ…!大きなオレンジの夕焼けを背にキリンが悠々と歩き象は大きく耳を羽ばたかせている…!」となったのがNotting hill。地球のグルーヴってこういう感じだよなぁー。

Notting Hill

Notting Hill

  • Samuel Seo
  • R&B/ソウル
  • ¥255

ソサムエル、2019年9月に渋谷でライブやってくれたんですよ。生バンド入れててすごく良くてさ。その後に出たアルバムも良かったからこれはアルバムリリース後のソウル単独公演だって間違いなく良いじゃん…なんでおれは行けない…と枕を濡らしていた。一曲だけライブ動画公式から出てるので置いておきますね…行けばよかったなぁ…。


[LIVE] 서사무엘 (Samuel Seo) - 'YI YU' (2019 단독공연 THE MISFITS)

 

ELO&Penomeco 「ODD」

ODD - EP

ODD - EP

2019年4月のPenomeco単独公演でゲストにELO氏がやってきて、MCでこのプロジェクトの事に触れてから7ヶ月…待った!我々は待ったぞ…!待っててよかった…!(´;ω;`) 

これ、4月の時点で収録曲のうちBODYを先に披露してくれていたんですけど、ELO氏は言わずもがな、Penomecoってラッパーなのかシンガーなのかどっちなんだっけ?となったんですよね…いや、どっちでも良くない?ラップにも歌にもむちゃくちゃ表情があってすごい。当時はMovieの初披露もあったので余計にそう思った記憶があるなぁ*11

BODY

BODY

  • ELO & PENOMECO
  • R&B/ソウル
  • ¥255

しかもそれがBODYに限った話だけではなく、このアルバムに収録されている他の曲においてもそうなので本当にびっくりする。2019年のPenomeco、声帯結節を患っていたにも関わらずスキル確変ぷりがすさまじく*12、そんな中でのこれよ。いやーーーホント、すごいアルバムが出来てしまったよ。

これね、曲名から彷彿とさせる内容が素直に歌詞に表れているので、その内容を踏まえてLOVE?→BODY→DEEP→VIEWの順に聞いてほしいんですけど、ELO氏とPenomecoの言葉選びの違いに個性を感じてとても味わい深いんですよね…'君は僕の秘密'とPenomecoが言い、'ワンナイトじゃないから'とELO氏が言うっていうね…。もちろんこれ以外にも印象的な歌詞はたくさんあるんですけど、この界隈の話をよくする友達とも「それぞれがこの言葉選びをすることにすごく納得感がある」と話していて、オタクの観察眼の精度の高さを実感したりもした。オタクすごい(すごい)。ちなみに私はVIEWにおけるELO氏の、直球のこの歌詞にすごく気持ちが上がっていた。

VIEW

VIEW

  • ELO & PENOMECO
  • R&B/ソウル
  • ¥255

歌詞まで読み解かずとも、それぞれのシチュエーションがしっかり脳裏に浮かぶ仕上がりなのもすばらしいんですよ。ホント、大変なアルバムができてしまった。LOVE?はMVもあるのでみてね。


PENOMECO 페노메코 X ELO 엘로 'LOVE? (Feat. GRAY 그레이)' MV

このアルバム、当初は夏にでる予定だったんですよね。でも個人的には結果的に11月のリリースでよかったのでは?と思っている。リリース当時、BODYを久しぶりに聞いた私は「BODYも印象全然違う、今の時期にバチッとはまるスウィートさ、ホットミルクティーシナモン乗せって感じ。最後ミルクフォームがしゅわっと消えてく」と言っていて、聞く時期によって曲の印象がかわるの面白いなーとなっていました。是非冬のうちにたくさん聞いてほしい!

 

ZICO 「THINKING Part.2」

友達がこのアルバムのサイン会に行っていて、「眠れない夜に聞きたい曲は?」のポイに対してニヤッと笑って「Balloon」と書いてもらった、という話を聞いたんですよね。何となくその話がずっと頭に残っていて、しばらくしてからこのアルバムを聞いて、「眠れない夜に聞きたい曲(というかアルバム)、確かに」と思った。言葉選びが適切ではないのを承知で言うんですけど、なんだか懺悔を聞いているような気持ちになるの。それは一番最後の曲による印象が強いせいでもあるんだけど、一曲目のAnother Levelをのぞいて他の曲全部、自分の隣に自分を置いて対話しているようでさ、すごく孤独を感じてしまった。言えなかった本音をぽつりぽつりと絞り出しているような、眠れない時にそんな風に考えを深く深くしていって気付いたらストンと眠りについているような、そんな感じ。実際に製作過程ではインプットを断って自分と向き合う作業だったそうなので、滲み出てるなぁと思った。

'深く深く'と言った通り、Another Levelだけ様子がおかしいぞってくらい、Being LeftからDystopia、そこからさらにBallonに向かって深度がズドンと落ちるのがすごい。Dystopiaの重力がちょっと異常だな…

Dystopia

Dystopia

Ballon、Dystopiaに比べれば仕上がりこそ軽めだけど、決して落ちた深度から引き上げるタイプの曲ではないので瞑想を深くする。MVの描写、アニメだけどかなりはっきりしているので余計に思考が中に中に向くよなぁ。


지코 (ZICO) - Balloon Official Music Video

はじめはこの流れの中に唐突に置かれている感があったanother levelなんだけだど、孤独が続く後続の曲の始まりにこれが置かれることはつまりそういうことだよな、となり、あぁーーーっとなった。2019年はこの2人のやりとりを見ては何度もあぁーーーっとなっていたな…。

Being LeftではKOZエンタ2人目のアーティストDvwnくんが客演を務めているんですけど、めちゃくちゃ良い声なので聞いてほしい。ZICOの声は土っつうか地面というか大地とかそんなイメージなんだけど、Dvwnくんの声は雪とか霧とか霞とか、なんか、雨冠がつくんだよなぁ。あんまり思いつかない、雨冠の声。


지코 (ZICO) - 남겨짐에 대해 (Feat. 다운) Official Music Video

2020年はFANXY CHILDメンバーのほとんどが兵役に行ってしまう年なので、今年の最優先案件として、後悔のないように追っていこうと思います。

 

Golden 「Hate Everything」

https://music.apple.com/jp/album/hate-everything-ep/1491103023?at=10l8JW&ct=hatenablog

兵役を終え、2019年秋頃から音楽活動を再開したG.Soul改めGolden、年末のフェスでライブを見ることが出来たんですけど、圧倒的美声に鳥肌が止まらなかった。12月にリリースされたこのアルバムの曲を中心に歌ってくれたんですけど、ウワーーーーーーっとなってしまって「う、うたがうまい😭」っていう子供みたいな感想しか絞り出せなかったな…だって本当にうたがうまい…😭

しっとり聞かせる系の曲、私は割とスルーしてしまいがちなんですけど、このアルバムだけはこの1ヶ月の間にすり切れるほど聞いた。時期的にホリデーアルバムが多くなる中、群を抜く煌めきを放っているのに、Hate Everythingって冠を被せたところもめちゃくちゃ好きです。ほとんどピアノ一本の超シンプルな演奏なので、声の良さが本当にほんっとうに際立つなぁ。

なんかさ、大事なパートナーと喧嘩別れした後、本当はディナーする予定だったホテルのラウンジに寄ってみるとさ、家族連れがプレゼント抱えていたり、デートの待ち合わせをしてる人達がいたりするわけよ。なんで私は…と思っていたら、今日はホリデーだからってことでいつも飾ってあるピアノを弾いて歌いはじめる人がいるのね。しかもこんな日なのにHate everythingって歌ってるんだよね。なんだろう、この人も私と同じ…?って思って、通り過ぎてく人にぶつかられながらもぼぉっと立ったまま最後まで聞いてたら、最後にちょっと目があって小さくペコってお辞儀される世界じゃないです????そのあとたまたま家族と乗ったディナークルーズでもまた彼が演奏していて、それがBroken Recordでさ、あれ………?ってなるっていう、そんな世界線じゃないです????????やばい、映画が撮れてしまう(落ち着いて)。

もちろんそんなMVではないので安心して見て…英語版の詞がそのまま字幕になっていて、何もかもがダイレクトに飛び込んでくるので、文字通り心が震えるよ…!


Golden(골든) - Hate Everything (Official Music Video) (Sub ENG)

Broken Recordは、ロンドン滞在中のバルコニーライブの動画だと地声がよくわかるので、音源と合わせて聞くと面白いと思う。どっちも置いておきます。

https://music.apple.com/jp/album/broken-record/1491103023?i=1491103062&at=10l8JW&ct=hatenablog


Golden(골든) - Broken Record (Balcony Live)

Golden、2020年1月にショーケースが決まってるんですけど、会場がパリなんですよね…さすがに遠いので、単独公演が近所で開催されるのを待つことにする…😭

 

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はーーーーー書き終わった!書き終わったぞ…!!!!

 

2019年は友人らのおかげもあり、これまでよりもこの界隈への理解を深める事ができてとてもありがたかった。そして、私が聞き始めた2017〜2018年に兵役に行った人たちが徐々に帰ってきはじめているので、オンタイムで聞けてなかった人のリリースを追えたりライブが見れたりしたのも嬉しかったなー。

このあと日を改めて曲別編も書くので、それが終わるまでは2020年の曲を聞き始められない…もう一踏ん張りがんばる…

 

アルバム編の最後に、この記事で取り上げた曲をまとめたApple Musicのプレイリストを置いておくので合わせて聞いてみてね!ではまた曲別編で…!

‎ねぇさんの「2019年によく聞いた曲ピックアップ(1/2) - アルバム編」をApple Musicで

 

 

*1:振り返る時に良かったので今年も #ねぇさんpick2020 でメモしていきたいと思います

*2:個人によるイメージです

*3:Deepshowerが編曲していてなるほどこの仕上がり、と大きく頷くのだった

*4:漢字で書きたくなる

*5:Wikipediaによると「必ずしもダンスフロア向けではない、独特で幻想的なリズム、メロディーラインが特徴である」だそうです

*6:感じ方には個人差があります

*7:ROVOのことだよ

*8:幼少の頃からバイオリンの英才教育を受けてきた凄腕バイオリニストでもある。今はラッパーに集中している

*9:去年Penomecoがリリースした初ep

*10:Leellamarzが客演していてやはり、となった

*11:Penomeco、Movieではラップを封印していてマジか!と驚いた

*12:これは別に記事を書くつもり

WTFに幸せを重ねていく

前回の記事が「映画一本撮ろう」リリースの時で、そこからあっという間に5ヶ月が経ってしまった。今日は10月7日です。早いなぁ。

今年の5月の連休中、Penomeco名義の新曲リリースに合わせて、Penomecoについて論文のような長さの記事を書きました。

その後新曲が出たり客演仕事が続いたりラップメイキングのお仕事があったりして、Penomeco、めちゃくちゃ仕事をしている…まだ五ヶ月前に書いた記事なのに、加筆しなくてはならないリリースがたくさんあるよ…すごい…。

そしてあの記事を書いた時はまさか8月にFANXYCHILD*1単独コンサートが開催されるとは夢にも思っていなかったわけで…。初日冒頭、一人で登場しラップしながら花道を闊歩してDJブースにつくmillic(あのブロック、”進撃のみりく”と私は呼んでいる)からはじまり、ビートの音数が減っていくと同時に徐々に現れるPARADISEのあの音。それに続くそれぞれの曲はどれも珠玉のアレンジがされていて、ステージ演出も抜群で、本当に本当にスペシャルだった。文字通り我々は”PARADISE”に来てしまったんや…となったんだよな。やばい、この時のまとまった記録、Twitterに書き散らかしただけで全然できてない…

 

それはさておき…Penomecoの曲の中でも私にとってとりわけ意味深い曲が「WTF」なんですが。この曲から私が受け取ってきた多幸感、特に今年はその質の変化が著しくて言葉にならないのです。この記事はそれを書き留めておくための、私のための超個人的なメモ。

 

私が知る限り、WTFには3つのバージョンが存在します。一つ目が2017年にリリースされた原曲、そして二つ目が2018年にbreakersで初披露したピアノ一本から始まるアレンジ、そして三つ目が2019年にFANXYCHILDのコンサートで披露されたアレンジ。今のところ一年に一つアレンジが増えてるんだな。

 

まず最初は、2017年にリリースされた原曲。これです。

原曲を初めて聞いた時に感じた多幸感を私はこう表現していた。

アルバムのアートワークも手伝ってか、私が水中で感じる、多幸感によるきらめきみたいなのと同じもの、を感じたんだよな…浅瀬の水の中で仰向けになってコポコポとお日様を眺めてるような…。聞く人を選びそうな癖のある声なのに上手に”楽器”として活かしていて耳触りも良いし、前述の類のきらめきを曲に感じたのは初めてだったので、「Penomeco」はこの感じ、というインプットがされた瞬間でもあった。多分この曲を聴いてなかったら「Penomeco」って名前は覚えていないだろうな…。

他の人はどうか知らないけど、私にとっては「水の中」って幸せな場所の象徴であり、このキーワードを彷彿とさせるものに対しては思い入れが格段に強くなるのです。Penomecoの曲を聞いてこの感覚が生まれたことそのものが、PenomecoとPenomecoの音楽への関心度を一段上に押し上げた。

水の中ってさ、自分が吐く泡の音と水流以外はぼんやりとしか聞こえない場所なので、めちゃくちゃ穏やかなの*2。そこから見るお日様、光が屈折して地上よりもきらめき増し増しだし、感じる幸せの純度とか濃度が違うんだよなぁ。それを耳で聞く音楽から感じる日が来ると思わなかった。これが今年に入る前に起きていた一度目の確変。

 

次に2018年のbreakersアレンジ。これです。

このアレンジとこれ以降2018年のPenomeco、それとこのアレンジが今年4月のPenomeco単独コンサートの最後の曲に使われたことについては過去の記事にがっちり書いたので再掲載。

WTFについては先にも書いた通り、私にとってもこれがなければPenomecoを覚えていないだろうっていう位置付けの曲なんだけど、Penomecoにとってもとても大事な曲のようで。2018年に放送された「breakers」という番組では「ファイナル用に準備しているステージが一番見てほしい曲」と言っていたんだよな。文字通りファイナルステージでこの曲が披露され彼は優勝するのだけど、皮肉にもその後スランプに突入していくという。

実はこの時のステージアレンジと全く同じ曲が、今年4月の単独ライブの最後を飾る曲として使われていたのだけど、ライブを見た当時はシンプルにピアノ一本で始まるアレンジすごく良い、で終わっていたんですよね…breakersまだ見てなかったので。なので、単独ライブ後にあのアレンジがこの時のアレンジであると知って「アーーーーーーーーーTTTT」となった。スランプを乗り越え苦労してミニアルバムを完成させた1年間を総括するような2度目の単独ライブのあの位置に、何ならスラップのきっかけになった番組のファイナルで使った曲を、当時のアレンジのまま持ってきたことの意味や理由を推し量ってしまい、すごくこみ上げるものがあったんだよな。そんなWTF、breakersでの曲紹介の字幕には「20代で最も幸せだった時の感情を込めた曲」と。もうね、泣いちゃうこんなの。彼にとって大事な曲であることを知るには十分すぎる体験だったなぁ。

スランプを乗り越えてリリースされた「GARDEN」の後の単独コンサートで、結果的に”一つのフェーズの始まりになった曲のそこで使われていたアレンジ”を最後に持ってきて締める、ということはさ、一つの孤独を乗り越えたってことでもあると思うんですよね。「あぁ、全部昇華したんだなぁ」と思った。同時に「もう大丈夫」って言われているようにも聞こえて、私は時差でめちゃくちゃ泣いた。これが2度目の確変。単独コンサートはめちゃくちゃ楽しかったのは言わずもがな、である。

 

そして3つ目のアレンジ。2019年のFANXYCHILD’Y’コンサートで披露されたこれ。

https://www.instagram.com/tv/B1ZAUUwAOSn/?igshid=1k0kxt1ky2o9h

初めて聞いた当時も今も多幸感を象徴する曲だなと思っているのだけど、このアレンジから伝わる多幸感がちょっととんでもなかった。

原曲やbreakersアレンジについて書いた文章に出てくる通り、この二つのアレンジから私が受け取った多幸感、私の頭の中ではいつも登場人物が一人だったんですよね。「水の中は穏やかで幸せだ」と書いたけど水中は基本的に孤独だし、「breakers後のスランプでの孤独感を昇華して大丈夫と言われているよう」と書いたけど、多幸感の背景には孤独ってキーワードが存在していてさ。でもこの時のアレンジを聞いて受け取った多幸感って言葉の中に「孤独」を彷彿とさせる単語が全く出てこなかった。天気の良い日の海の水面にキラキラと反射している日差しのような…なんだろうこれは?!ってなったんだよな。

 

ちょっと話が逸れるんですけど、この”なんだろうこれは?!”を考えるにあたって、あの曲が「20代で最も幸せだった時の感情を込めた曲」である所以ってなんだ?なんで歌詞にラスベガスが出てくるんだ?って事を改めてちゃんと調べたの。そしたら大事なエピソードが出てきた。この曲、ジコと一緒にラスベガス旅行に行った時の話が歌詞に盛り込んであった。この曲から感じる多幸感の正体になんだかすごく合点がいってしまった。

友達も言っていたのだけど、WTFが入ったFilmがリリースされたのは2017年3月…ってことは制作してたのはおそらく2016年から2017年の始めということになる。しんどかった時期を抜けて、音楽ができていることを噛み締めていただろう時にさ、活動再開をずっと待っていて背中を押してくれた大事な友人とさ、一緒に行ったんだよ、ラスベガス旅行に。「音楽をまたやれて、しかもこんな風に一緒に旅行に来てるなんてさ…こんな日はこないと思ってた、夢じゃないんだよな」みたいな話もしただろうよ…*3。その話が盛り込まれたこの曲が、Penomecoにとってどれだけ大事な曲なのかはもう、言われなくてもわかる。本当に「夢みたい」だったんだろうなぁ。音楽をやれている事の喜びにかえってこれる曲なんだよな、きっと。

原曲から私が感じた多幸感の正体はまさにこの「音楽をやれていることの喜び」だった。外的起因で断たれていたやりたかったことをまたやれる喜び。breakersのアレンジを単独コンサートで聞いた時に感じた多幸感の正体は、内的要因である自身のスランプを昇華できたことによる開放感とかある種の達成感みたいなのに近いかもしない(しっくりくる言葉が見つからない…)。

 

…話を元に戻そう。私は2つのどちらも、何かを乗り越えた時に生まれるポジの感情が放出されてるんだなという理解をしたのだけど、そこからのFANXYCHILDのコンサートでのこれなわけよ……どんどん穏やかなアレンジになっていくんだよ……

このアレンジのWTFを初めて聞いた(見た)時に、原曲で感じた”水の中から見る日差しのきらめき”を”みんな”で見ていて、ぷはぁ!って水面に上がった後で「なぁみた?!」「みたみた!めちゃくちゃきれいだったよな!!」「だよな!すごかったなあれ!」みたいな、なんていうんだろう、幸せを共有できる人が明らかにすぐ近くにいる感じがしたんだよ。ステージでは隣にCrushがいてさ、合いの手を入れたりするわけ。そんでWTFの最後のフレーズから2411につながっていくのだけど、そういうステージができているってことからも感じるんだよな、”幸せを共有できる人が明らかにすぐ近くにいる感じ”。そこから感じる穏やかさが、これまでの色々な出来事を経た今のPenomecoを象徴しているようでさ……*4元々彼にとっても大事だった曲が、今こんなに幸せなアレンジで披露されているんだよ、泣いちゃわない?こんなの。おれはもうだめだよ…。これがWTF3回目の確変。

 

Penomecoの人生、たびたびしんどい時期が訪れる。でも、音楽を再開させようとした時にはすぐ話せる距離にジコくんがいて、スランプに悩まされていた時にはAPROさんがトラックをプレゼントしてくれたりしてさ。なんというか、Penomecoには必要な時に必要な人がきちんと居てくれる引きの強さみたいなのがあるなって思った。いい距離でいつも見守ってくれている、彼の衛星みたいな人がちゃんと居るんだな、と思うと、なんだか安心する。

FANXYCHILDのコンサート二日目の最後のMCの時、緊張の糸が切れてしまったのか、気持ちが溢れて泣いてしまったPenomecoを見て「どうかこの人の先の人生が、音楽に囲まれた、健やかで幸せなものでありますように」とすごくすごく思ったんだよ。WTFっていう、あの時の多幸感がパッケージされた宝物のような曲を大事に抱えながら、新しい幸せをどんどん重ねていってほしいんだよな。それが音楽にかかわることでもそうでないことでも構わない、とにかく幸せに歳を重ねていってほしいんだよ。そしたらきっと、WTFを通して感じる多幸感がまたちょっとずつ姿を変えていく気がするからさ。私はその、重ねられていく幸せによって変わってくWTFを見ていきたい。

 

2019年10月7日、この記事を書いた今日がPenomecoの誕生日。おめでとうドンウク!今日も明日もその先も、あの時のような幸せな日が続きますように!

WTF (Went Too Far)
作詞:Penomeco 作曲:Made By Me, Penomeco 編曲:Made By Me

WTF (Went Too Far)

WTF (Went Too Far)

So baby I'ma went too
So baby I'ma went too
So baby I'ma went too

Baby I'ma went too far
No doubt I
Baby I'ma went too far
No doubt I knew
Baby I'ma went too far
I can't see
what I've been through
So baby I'ma went too far
No doubt I knew

眠る前 俺は思い出す
夢みたいだったベガスの夜景と
時間が来ると重くなる体
体を起こして踏み出した足と
床に転がったDom perignon
飲まなくてもその味は知れる
俺の両目に映った背景が
この曲にメロディーをくれた

Baby I'ma went too far
No doubt I
Baby I'ma went too far
No doubt I knew
Baby I'ma went too far
I can't see
what I've been through
So baby I'ma went too far
No doubt I knew

俺が感じた全てを伝えてやりたい
天国があるんだとしたら今すぐ行くには高すぎる
二十歳になってから
We won't stop
忘れんな あいつらは森の中の一本の木しか見ないこと
写真に残そう 完全に
Visual Gangster
63ビルまでヤシの木に見える
都心の中のpool villa
その上のジャグジーまで通うんだ
天気までVery Hot

This might have been something
ya already know
パスポートが無くてもこの感覚は知れる
俺のポニーが出す排気音が夜を起こす
この都市は眠らない
今この夢を現実だと信じてもいい
思うが儘に動け 目を覚ましたら
日常に戻る
Over & Over
Over & Over
Over & Over

Man I gotta go now
Man I gotta go now
気を落とす必要はないだろ
こんなにいい日なんだから
Man I gotta go now
Damn I gotta go now
Man I gotta go now
きっとまた戻って来るさ
この時が過ぎても

Baby I'ma went too far
No doubt I
Baby I'ma went too far
No doubt I knew
Baby I'ma went too far
I can't see
what I've been through
So baby I'ma went too far
No doubt I knew

 

*1:Penomecoが所属してる、全6人のクルーだよ

*2:もちろん荒れている時もある

*3:これは想像です

*4:このコンサートのMCで不意に声帯結節を患っていた(いる?)ことが明かされ、もちろん心中穏やかではない日も多いだろうけども、だとしても。

「映画一本撮ろう」がリリースされました

先日Penomecoについての18,000字近い記事を上げたのですが、その後すぐに新曲「映画一本撮ろう」がリリースされました。それについての加筆を試みたんですけど、あっという間に加筆部分が2,000字を超えてきたので(…)、記事を別におこしてリンクを貼ることにしました。2万字とかロキノン巻頭インタビューじゃん…

↓元記事はこちら

 

さて、出ましたね。

https://itunes.apple.com/jp/album/movie/1462709204?i=1462709205&uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog

ラップを追加してくるかと思っていたら完封したまま…!!歌一本で攻めてくるとは、やるじゃんPenomeco…!!!

おそらく今の彼にとって「歌」こそコンプレックスの居所なんだと思うので(過去に身の回りに上手い人が沢山いるし…的なことを話していたソースがあったと記憶している)(私はそうは思わないのだけど)、まっすぐ向き合ってきたなーという感じ。で、リリース後の彼のインスタストーリーで「やればできる」的な写真が上がっていて、自己肯定できているのをみてほっとした。4月の単コン初日に披露した時、めちゃくちゃ緊張しただろうなぁ…。

 

元記事の冒頭で'ラッパー'と書いたのだけど、いよいよ一口にラッパーと言ってよいものかわからなくなってきた感のある「映画一本撮ろう」ですが、歌詞の言葉の選び方がさ、アーーーーーっていうね。

僕たち一緒に道を歩く時

きれいな風景だけ見てほしい

晴れの日には、曇りの日には

雨の日には、いや、僕は

(中略)

僕たち一緒に話を交わす時

きれいな言葉だけ聞いてほしい

草擦れる音 雪踏む音 雨降る音

ただ僕は Just only you

見てよこの奥ゆかしさ(?)。L.I.Eの所でも書いた表現がもう一つ熟していく過程たるや。たまらんなーほんと。

私は「きれいな言葉だけ聞いてほしい」に続く歌詞が「草擦れる音 雪踏む音 雨降る音」なところが本当に好きなんですけど、そこで言葉そのものが並ばずに言葉を交わすだろうシーンがファーーっと浮かぶ言葉を並べる感性に「アーーーーー」ってしちゃうんですよね…。トラックの音数が少ない事も相まって、頭に浮かぶ絵が春にも冬にも梅雨にもなるの面白いなって思う。

 

この記事の中でPenomecoは「表現とはいつも不思議で強烈で、また朧げな記憶になる」って言っていて、それなーとなった。私普段聞く曲で良いな、と思ったものはTwitterでタグつけてメモしてるんですけど*1、良いな、と思うもの、だいたい頭に映像が浮かぶ曲なんだよな。行きもしないのに「漢江の芝生で聞いたやつだなー」みたいな気持ちになるので、多分そういう事を言ってるんだよなこれは、ってした。

MVはいわゆる邦画仕立てになっているんだけれど*2、先に挙げた記事で'聞く者の忘れられない初恋の思い出を召喚する見通し'とある。それが本人によるコメントなのかはさておき、初恋に限らず、これは「表現から受け取る強烈で朧げな記憶の、1つの例ね」という腹落ちの仕方をした。過去イチ表現が具体的なMV(だと思っている)なので、私が日本人であるが故に、勝手に深読みしそうになる自分がちょっと邪魔だったな…絵が具体的なだけに。

でもね、ああいう形で別離してしまった人との出来事はさ、思い出す時は映画みたいになるんだよね…。全く同じではないけどそれに近い経験があるので、ああ…という気持ちになった。それにあてるBGM選びをしようとすると、私もこういう曲になるなー。

 

この曲、なんていうか、映像を召喚しやすい音の組み方なんだよな。私の頭の中では音と絵が連結していて、音の組み合わせの仕方や使い方によって映像が出来あがってく仕様になってるのだけど、音数めちゃくちゃ少ないし音の隙間も多いじゃない?この曲。私は歌詞の内容がすぐに頭に入ってこないので、脳内映像を作るための素材はトラックを作ってる音とPenomecoの歌い方、あと彼の合いの手の入れ方だけになる。素材が少なければ少ないほど、解釈のブレが大きくなるので、喚起される映像も多岐にわたる、っていう。MVによって喚起される映像が固定化されたりもするけど、MV見なかったら見なかったで、めちゃくちゃいろんな映像が出来上がるタイプの曲では、となっている。

Penomecoは直接伝わるもの以外をパッケージにするのが上手だ、という書き方を元記事でしていたのだけど、その加減と余地もコントロールできるとは…やっぱり器用だな、Penomeco。

 

こないだスケッチブックに出た時にステージで披露していた動画があるのだけど、MVよりこっちを先に見る方が、喚起される映像の違いを楽しめるかもしれない。ので、個人的にはスケッチブック→MVの順に見ることをオススメします。Tempoのセルフカバー動画は追い追い元記事に貼っとくね…

 

ELO氏とのプロジェクトのリリース、夏くらいになるようだったので、それも楽しみだなー。引き続きPenomecoをどうかよろしくお願いします。

*1:#ねぇさんpick2019

*2:邦画の表現を採用した意図が何なのかはとても関心があるので、聞ける機会があったら聞いてみたい

Penomecoをどうかよろしく ※5/12加筆

昨年突然の'推し入り'を果たしたラッパーのPenomecoですが、今年4月に自身2度目の単独ライブが開催されまして(もちろん2日間とも行った)、2018年以降関心度があがりっぱなしです。

昨日(5/5)は客演仕事が、明日(5/7)には久しぶりにPenomeco名義の新曲リリースがあるので、少しずつ書き溜めていたこの記事をどうにかリリース前に公開するぞ…という気持ちで仕上げたのですが、書くにあたって「省略せずにできるだけ全部書く」を念頭にしたところ、またしても論文並みの長さになってしまった。熱量のままに記事を書くのは久しぶりだな…。

※新曲リリースされ、Tempoのセルフカバーがあったりしたので、加筆しました(5/12)

 

▼Penomecoってだれ…

f:id:dainouti:20190418150853j:image

Penomeco(페노메코) /本名 チョンドンウク(정동욱)

1992年10月7日生まれ。今ではS.M.エンタの傘下に入ったMillion Market所属、FANXYCHILDのクルーメンバーのラッパー。中高を若松河田の韓国人学校で過ごし、当時同じクラスにいたhiphopの話ができる友人ZICOとは、今も濃く続く長い付き合い。19の時に家庭の事情により音楽から隔離された生活を余儀なくされたものの、4,5年ほどして活動再開。SMTMやbreakers等の番組出演や海外公演をしつつ、配信や客演でのリリースを重ね、ミニアルバム”Garden”を昨年末にリリース。今年4月に、2018年春以来となる自身2度目の単独ライブを終えたばかり。その単独ライブで先行披露された新曲「영화 한 편 찍자」(映画一本撮ろう)が5月7日にリリースされる。

f:id:dainouti:20190418151345j:image

最近ならこっちのアー写は見たことある人いそう*1FENDIのこの柄のジャケットめちゃめちゃかわいくてガチで買おうとしてたな…お値段見てやめたけど…

 

本人のバックボーンは楽曲のところでも触れていくので、今はおいといて…ひとまずPenomecoが私の1pickに至るまでの話を。

 

▼なれそめ(?)

2018年のピックアップ曲を紹介する記事でも書いたんだけど、K−POP二年生である2018年は新譜を片っ端から聞いてくスタイルだったので、いつものように新譜を順番に聴いてたんですよね。そのうちこの曲に出会う。

L.I.E

L.I.E

  • PENOMECO
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥255

「ZICOがプロデュースしてるんだ、ふーん」みたいな、めちゃくちゃ軽い気持ちで聞いたら(MVは見てない)思いがけずかっこよかった。Penomecoっていうのか、良い曲だな、となり、他の曲をmelonで掘ったところ、この曲がクリーンヒットする。

WTF (Went Too Far)

WTF (Went Too Far)

アルバムのアートワークも手伝ってか、私が水中で感じる、多幸感によるきらめきみたいなのと同じもの*2*3、を感じたんだよな…浅瀬の水の中で仰向けになってコポコポとお日様を眺めてるような…。聞く人を選びそうな癖のある声なのに上手に”楽器”として活かしていて耳触りも良いし、前述の類のきらめきを曲に感じたのは初めてだったので、「Penomeco」はこの感じ、というインプットがされた瞬間でもあった。多分この曲を聴いてなかったら「Penomeco」って名前は覚えていないだろうな…。

その後も同じように新譜を聴き続ける毎日が続くのだけど、気になる曲がある→クレジットや誰の曲かを見る→あれ、ペノメコってPenomeco?ということが起こる。不思議なことにこれが一度だけではなく何度も起こる。繰り返すけど、本当に機械的に曲を聴き続けていたので、意図的にPenomecoだけ追うことはしてなかったんだよね…なのに、彼の楽曲は結果的に琴線に触れてしまう。個人的にも割と忙しくしていた3月〜8月までの間、Penomecoもサバイバル番組への出演(breakers)やリリース客演海外ライブを重ねていたのだけど、意図せずPenomecoのリリースだけは概ね追ったことになっていた。インスタフォローしたのも確か夏くらいで、この時期やたら夜中にインスタライブやってた気がしたんだけど、しんどい時期ってこの辺だったのかなぁ(これについては後で触れる)。

そうこうしてるうちにCOCO BOTTLEがやってくる。

COCO BOTTLE

COCO BOTTLE

これを、SEVENTEENにどぷんと行った時のようにMVをよく見よく聞いた*4。これが多分、音楽的な面で深入りしていく上でのトドメだったんだと思う。

その後リリースは途切れ、私も9月10月はそれなりに忙しくしていたところで「Penomeco日本公演」のアナウンスがTLを駆け巡り*5、4月の単コンを見送っていた身としてはVISIONが初の現場となり、その後ライブ見たさに転がるように3度ほど渡韓し今に至る…と。人となりを知るようになったのはVISION以降なので、それまではひたすら曲を聞くばかりの毎日だったのにね…やっぱりライブ見て、人そのものに関心を持ってしまうとダメね…*6

 

 

▼Penomeco、この声でめちゃめちゃに器用

話の流れでいくつか紹介したけれど、Penomecoが関わる楽曲は、客演曲も自分名義の曲も本当におもしろい。'おもしろい'を構成しているのはいくつかあるのだけど、彼の声質と表現力によるところがそれなりに大きいので、まずはその話を。

hiphopというかラップって「声が低くて太くてドスが効いている」という観念の人、わりといると思うんだけど(かくいう私もそう思っていて、それが苦手で近づかなかったジャンルでもあった)、Penomecoの声は鼻にかかった特徴的な声で、必ずしも声が低くて太くてドスが効いているわけではない。もちろん表現としてそういう曲もあるけれど、ラップしてても歌ってても聞いてすぐに彼の声とわかるんだよな。トラックメイカーやプロデューサーがサウンドロゴに与える役割を、Penomecoの場合は声そのものが担ってる。強いと思う、そういうの。

特徴的な声だとどれを聞いても同じに聞こえてしまいそうなところ、彼はそうならない。そんな声だからこそ曲との相性の良さが限定されかねないのだけど、結果的に彼は客演曲でさえもジャンルを選ばない。特に今年に入ってからは、客演曲における楽曲のバラエティの幅がすごくて、この声質にしてこの器用さはなんだ?!となる。それでいてどの曲でも主演を喰わずにめちゃくちゃ'Penomeco is here!!!!!'ってしてるわけで、そりゃ「何事…」ってなるよ…リリース順にいくつか貼るので順番に聞いて欲しい。

「dress - baby (feat. penomeco,sogumm)」

Baby (feat. PENOMECO & sogumm)

Baby (feat. PENOMECO & sogumm)

一緒に客演参加してるsogummの声、ものすごく濃くて、聞いたことないくらいねっとりしてるのよ。そんなsogummパートが先に来るから、多分ただきれいな声だと喰われるんだよな…。でもPenomecoはこの声だからか、全然喰われずにめちゃめちゃ共存しててすごい。これ単コンで生で聞けたんだけど、動画撮ってる場合ではない…となり、私のiPhoneに唯一記録が残っていないという…ホント凄かった。友人が教えてくれたのだけど、Penomecoはあるインタビューで彼女の声を「干ばつの中に咲いた薔薇」という表現をしていて、強く膝を叩くのだった。

「punchnello - Blue Hawaii (Feat. Crush, PENOMECO)」

Blue Hawaii (feat. Crush & PENOMECO)

Blue Hawaii (feat. Crush & PENOMECO)

この組み合わせでのリリースはEndorphinぶりでは?!しかも音色の世界観が地続き!と高まっていたら単コンではPunchnelloも出てきて2曲続けてやってくれて、「だよね!!!」ってした。この曲、三者三様の存在感があってとてもおもしろい。Punchnelloのパートは地に足がついていて、そこにCrushのパートが重力を、Penomecoのパートではピンと張った布の上で粒子が跳ねるような、軽やかさが足されていて耳が忙しい。WTFを聞いて感じる色に近いんだけど、客演だから自分名義の曲とは別物ってのも面白いよなぁ。気の知れた仲間との曲ということもあって、ホーム感があり肩の力もストンとしていて良いなー。

「JEONG SEWOON - Feeling (Feat. PENOMECO)」

Feeling (feat. PENOMECO)

Feeling (feat. PENOMECO)

  • チョン・セウン
  • K-Pop
  • ¥255

セウン氏への客演、カットインの仕方と言葉の乗せ方がめちゃめちゃ好きで、「恋が始まってしまう!!!!」って言いながらずっと聞いてた。リリースした時期もものすごく良くて、今年の春はこれ無しでは過ごせなかった。セウン氏、元々客演を迎える曲がほぼない(自分で作るし)中、ラッパーの客演はJUST UでのSik-k以来2人目?で、なんならその時よりもポップで春めいてる曲にバチッッッとはまるPenomecoの声よ…。トラックで刻んでるギターに小気味好いラップで絡んでいくところとかさ、ホント好きでさ、ラップが歌ってるんだよな、これ…。所謂アイドル(と言っていいのか)に歌詞や曲提供としての参加ではなく客演として参加してこのアウトプットをするところ、「ハァーーー」と感心してしまう。

「Mia - Dear (Feat. PENOMECO)」

Dear (feat. PENOMECO)

Dear (feat. PENOMECO)

  • Mia
  • R&B/ソウル
  • ¥255

そんなセウン氏との曲からのこれだよ!!!ずるい!!!(´;ω;`)この曲、ラップではなく歌がさーーーーアーーーーってなるんだよね…。Penomecoの歌やラップは、トラックによって重力の程度も種類も違っていて、この曲とbabyも重さは似てても種類が全然違う。babyの方は懇願とか渇望、Dearは孤独とか寂寞、みたいな印象になるんだよな。それは彼の歌以外から受け取るものによるところも勿論あるんだけど、韓国語がわからず歌詞の意味を直接的に受け取れない私が、聞いただけでイメージを言語化できるということそのものが、彼の器用さの証拠なのかと。受け取ったイメージと歌詞との答え合わせをしてもズレたことがそんなになくて、割とびっくりするもの。

余談だけど、MiaはPenomecoも出演していたbreakersで共演していたシンガー(当時は現役音大生だった)で、優勝こそしなかったけどこの出演がきっかけでデビューを果たしてる。この曲はその番組でも披露していたんだけど、客演相手がEddy Kimだったんだよね。もちろんそのパートのメロディーも歌詞も声も違っていて、それぞれの特徴と良さがあるので、聞き比べてもおもしろいと思う!

「millic - PARADISE (Feat. FANXYCHILD)」

客演と言えるのかわからないしこれは2017年のリリースなんだけど、FANXYCHILDクルーメンバー全員でやったこの曲のことは書かないとダメなやつ…

Paradise (feat. FANXYCHILD)

Paradise (feat. FANXYCHILD)

millicのVidaってアルバムに収録されている曲なんだけど、ZICO・DEAN・Crushが次々に登場した後のPenomecoのパートがすごい。それまでは割と精神世界というか、無機質に夢現を彷徨っていたところを、彼のパートが始まった途端、視界一面を埋め尽くすように百合の花がブワァーーーーーーっと咲き始めて、むせ返るような花の香りが襲ってくるんだよ…で、百合で埋め尽くされたと思ったらみるみるうちに見た事のない色に変色していくイメージなんだよな……えっこれこの書き方で伝わる?ww トラックの雰囲気がクッと変わるパートでもあるんだけど、たぶんここ、人によっては捕まるどころかガッチリ捕食されると思うんだよなぁ…友人もこれで落ちたところある、と言っていてわかる、となった。

「ELO - Oh I (Feat. PENOMECO)」

強く叩きつけるような、という意味ではこの客演もだな…これは2018年のリリース。

Oh I (feat. PENOMECO)

Oh I (feat. PENOMECO)

  • ELO
  • R&B/ソウル
  • ¥255

これまでにあげた客演曲の中でも硬派なトラックで、叫ぶようなELO氏の歌に対して芯のある真っ直ぐなラップで応えるPenomeco、力強くてアツい。念願叶って単コンで見ることができて嬉しかったなぁ。

客演曲はこれ以外にもたくさんあるので、曲一覧から主名義がPenomeco以外のものを探して聞いてほしいなぁ。自分以外の個性の中でどう自分を出すか、の落とし所の違いがわかるので、客演曲の聴き比べは楽しい。

 

客演のことばかりあげてきたので、Penomeco自身の曲のことも書くぞ…端折っている曲もあるのでそこはご容赦を。

 

▼とにかく自分に向き合うPenomeco

客演曲では器用さを書いたけど、自名義の曲はとにかく自分に向き合う印象が強いPenomeco。順番に追うことにします。

①2016年までのPenomeco

今のMillion Market所属になる前の配信(STONESHIPともう一つのレーベルから)が3つと、そのMillion Marketから1つ。前3曲は日本からだとApple MusicやiTunesで聞けなかったりそもそも配信されてなかったりするのでファンカム動画貼っておきますね。活動再開したばかりの頃の曲だからなのか、歌詞が強くてヒリヒリする。Right Thereのファンカムの若さがすごい、別人のようだな。

 「Right There」(2014.10)

「23」(2014.12)

「Ma Fam」(2016.3)

Ma Famまでの分はMelonのジャンル表記がIndieMusicになってて、7:3くらいで男性リスナーが多かった(Melonのデータ参照)。で、ミリマ所属になったここからはそのジャンル表記が外れ、女性リスナーが増えて、男女比率が6:4くらいになってくる。

「For you」

MVがないのでスタジオパフォーマンス動画を。先にも書いた、Penomeco×Crush×Punchnelloの組み合わせでの初リリースに当たるのかな…軽快とは逆の、呼吸がうまくできない詰まったビートで、しかもその後の”No.5”にも通じそうな「香り」が歌詞に出てくるの、今見ると伏線のように思えて面白いなーっとなる。ここからはApple Musicでも聞けるよ!ミリマありがとう!

For You

For You

ちなみにこの年はZICOの"말해 Yes or No"に客演した年にあたる(23とMa Famの間、2015.10)。友人に教えてもらったのだけど、2016年のサマソニにZICOが出演した時にPenomecoも一緒にステージに出たそうで(FANCAMがあるので探して)、その後もライブのゲストできたりフェスで一緒になったりすると2人で演る事が多くて君たちは本当に…!ってなるな。音楽活動を再開するにあたってZICOに相談したところ「お前がそういうのをずっと待ってた」と言われ、5分で不安がふっとんだという話はズッ友エピソードとして語り継いでいきたい。

 

②2017年のPenomeco

2017年はSMTM6に出ていた年でもあるんだよな…起きていたことは要約でしか知らないのでここでは触れないけれど、何れにしても露出がぐっと増えた年には違いないかと。

「Film」

Film - Single

Film - Single

これどういう位置付けになるんだろう…生産数限定でパッケージになっている作品でもあるんだけど、Gardenのように流通しているわけではなさそうで…シングルになるのかな…。形態はともかく、ライブでも頻繁に披露される、歌詞を覚えて絶対にシンガロングしたい”PNM(Plus And Minus)”と、とりわけピックアップして書きたい”WTF(Went Too Far)”を含む3曲が収録されてます。

WTFについては先にも書いた通り、私にとってもこれがなければPenomecoを覚えていないだろうっていう位置付けの曲なんだけど、Penomecoにとってもとても大事な曲のようで。2018年に放送された「breakers」という番組では「ファイナル用に準備しているステージが一番見てほしい曲」と言っていたんだよな。文字通りファイナルステージでこの曲が披露され彼は優勝するのだけど、皮肉にもその後スランプに突入していくという。

実はこの時のステージアレンジと全く同じ曲が、今年4月の単独ライブの最後を飾る曲として使われていたのだけど、ライブを見た当時はシンプルにピアノ一本で始まるアレンジすごく良い、で終わっていたんですよね…breakersまだ見てなかったので。なので、単独ライブ後にあのアレンジがこの時のアレンジであると知って「アーーーーーーーーーTTTT」となった。スランプを乗り越え苦労してミニアルバムを完成させた1年間を総括するような2度目の単独ライブのあの位置に、何ならスラップのきっかけになった番組のファイナルで使った曲を、当時のアレンジのまま持ってきたことの意味や理由を推し量ってしまい、すごくこみ上げるものがあったんだよな。そんなWTF、breakersでの曲紹介の字幕には「20代で最も幸せだった時の感情を込めた曲」と。もうね、泣いちゃうこんなの。彼にとって大事な曲であることを知るには十分すぎる体験だったなぁ。

ちなみにこの記事の前半にも書いたんだけど*7、私がこの曲を初めて聞いた時に感じたのも「多幸感」なんですよね…目に見えない感情を確かに曲に乗せられる感性、そういうところだぞPenomeco、私が好きなのは。そんな曲のリリースが2017年にあったよということで、動画はその2018年放送のbreakersバージョンのWTFを。iTunesのリンクも懲りずにもう一度貼ります。

WTF (Went Too Far)

WTF (Went Too Far)

 

「HUNNIT」

HUNNIT

HUNNIT

SM Stationからの配信曲。この後にリリースされる”L.I.E”でも話される別れた彼女の事が歌詞に濃く出ているのだけど、めちゃくちゃ怒ってるんですよね…(それだけ好きだったんだな、というね)。友人が「Penomeco、あの感じ(オフステージだと穏やかでふわふわしてる印象)で激情の人というのがすごい」という話をしていて、本人の人間的な部分が曲に表れる圧倒的リアルさは、アイドル界隈では体感できないところなのだと思うなー。ちなみに、同じ年の2月にSoundCloud"No love"という曲が公開されているのですが、HUNNITは8月なので、おそらく前身の曲なのかと(曲自体は全く別物ではある)。HUNNITが「消えろよ俺の携帯から」に対してこちらは「俺の中に君はいない」なのも味わいが深い。

 

③2018年のPenomeco

この年のPenomeco、「breakers*8」をこなしながら海外公演したりしていた年で、めちゃくちゃ忙しかったりスランプになったりもしている。それを経て、年の瀬に激烈素晴らしいGardenっていうミニアルバムを出しているので、一皮むけた年になったのかと。SMTM6で十分に披露できなかったステージへの渇きは満たされたけど、競争は性に合わないというように、自分と徹底的に向き合うタイプなんだろうな…それを踏まえての2018年ということで、順番に。

「L.I.E(Prod.ZICO)」

ZICOをプロデュースに迎えた配信リリース。なれそめの所で既出なのでdingoのLIVE映像を貼っておく。HUNNITと同じく、別れた彼女の事が歌詞になっているんだけど、HUNNITと比べてほしいんですよね…割とストレートに感情を書いていたHUNNITから表現が変わる。もしかしたらプロデュースによるものかもしれないけれど、電話している片方側だけの話声と、電話を置いた後のため息が聞こえてきそうで、曲の雰囲気も相まって虚無な空気がすごい。いや実際虚無な空気だったんだろうなと思うんだよね…そしてその空気をきちんとパッケージにできるところね、そういうところだよPenomeco、私が好きなのは(二度目)。

「Good Morning(Feat. CAR,THE GARDEN)」

Good Morning (feat. CAR, THE GARDEN)

Good Morning (feat. CAR, THE GARDEN)

チルな雰囲気に加え、曲名である”Good Morning”から受ける初見の印象から心地の良い曲なんだろうと想像するのだけど、歌詞はそうでもない。これ、先に書いた”音楽ができなかった時”のPenomeco自身の話を自伝的に書いているもので、当時の事を消化する時の表現としてこの形とこの音色を選ぶことや、MVがオール日本ロケであることもなんだか意味を推し量ってしまう。その当時「しんどいな…」という気持ちの塊を自分自身の真横にそっと積み上げては自分で崩す作業をしていたのでは、と想像してしまうので(実際どうかは定かではない)、この曲を作る時、どう感情を消化していたんだろうな、とずっと気になっている。一部の歌詞置いておくので読んだ上で聞いてみてほしいなー。印象が随分変わると思う。

軍浦駅の前のファミマの店長さん

数か月分の滞った月給払ってくれ

考試院の部屋の滞った家賃が

俺の一日の原動力になった時

一日中口ばっかり動かしてる

元気にやってるだなんて真っ赤な嘘

Common problems and I knew that

別に珍しいことでもないってのは分かってた

弱々しかった足取り

Now I see

表現するのが苦手だった子供

ゆっくりと学んでいく間

I say that "good morning" yeah

 

この曲がリリースされたのと同じ年に「breakers」でアンサーソングを作ってステージで披露する、というミッションがあったのですが。Penomecoは元曲にこのGood Morningを選び、あの時の自分に対しての今の自分からのメッセージとして"Do Ma Thang"という曲を作ります。諸々を踏まえた上で聞くと結構くるものがあるので、セットで聞いてほしいんですよね…「音楽で食っていきたいなんて言える空気じゃなかったけどでも」という気持ちに対してのこれ、という意味で、曲調はもちろん歌詞も同じく結構くるものがある。「なあジホ、お前が言ったように苦労すんのはもう終わりだ」という名言もこの曲の中にあるので、和訳も置いておきますね。音色の選び方も、強目の花の香りがファーーっと吹き荒れるような華やかさがあるので、ParadiseのPenomecoパートが好きな人はたぶん好きだと思う。

「COCO BOTTLE」

こちらも既出なので、breakersのステージ動画を。この曲は2018年のPickupの記事で書いたこれに集約されるんだよな。APROさんによるトラックのセンスは言わずもがな、コーラヲタクにしか書けない歌詞も良いです。

COCO BOTTLE、キャッチーさは言わずもがなで、何が面白いかってトラックの音色と歌詞の乗せ方。コーラの栓を開け、グラスに氷をカランと入れ、注いでシュワーってなって、一口飲んで「ッアー!」ってするまでの音がイントロの後もずーっとあちこちにいて、注ぐ時のトゥクトゥクする音はそのまま歌詞にいる、みたいな。めちゃめちゃコーラ飲みたくなる。コーラのCMに使ってなかったなら今すぐにタイアップしてほしい。

これも「breakers」のミッションから生まれた曲であると、番組を見るまでは知らなかったんだけど、ドライブミュージックを作って!のミッションだと知って「?!」となった。Penomeco大のコーラ好きで、作業中も寝れない時もドライブの時もいつもコーラと一緒なので、ということのよう。マネージャーに「なんでそんなにコーラ好きなのよ?」と聞かれ、出会いからコーラの起源までペラペラ喋るところすごい好感度高かったので、yoonさんによる英語字幕動画置いておきます。

「Garden」

Garden - EP

Garden - EP

  • PENOMECO
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥917

breakers後スランプに苛まれながらも仕上げた初のミニアルバム。このアルバムにまつわるインタビューがたくさん出ていて、友人が教えてくれたものを読み漁った。本当はSMTM6の後に発表しようと思っていたけれど、そのbreakersへの出演があったり色々あってこのタイミングになったこと、タイトル曲の"No.5"はそのSMTM6の後からずっと温めていて、完成までにかなり時間をかけたことなどが話されていて興味深かった。

そのNo.5に限らず収録曲として並ぶものはどれも独立した雰囲気を持っていて、同じ映像が浮かぶ曲は二つとないのが面白い*9。加えて、聴覚以外の感覚を刺激するような見せ方をしようと、このアルバムの収録曲には全て花があてがわれ、それをベースに調香して香水まで作ってしまったのもまた面白いポイントかと。私がこの記事で何度か書いている”目に見えない感情や空気を確かに乗せてくる”ものが”曲”以外になってきたな…でもPenomecoという人が取りうる表現方法としてめちゃめちゃ筋が通っているな…となった。店内全部が花であふれているカフェで、リリースイベントとして”Garden”の展示も開催され、結果的に聴覚・嗅覚・視覚・触覚に訴える作品になったのもまさにそれ、という感じ。(↓動画はその、展示イベントのレポート)

これまでもそうだけど、Penomecoのすごいところは、彼が表現したいものがまっすぐ受取手に届くところだと思うんだよな…その、まっすぐ届くような表現を選択するのがうまいというか。歌詞だけでどうにかするのではなく、歌唱力だけで全てを引っ張るということでもなく、感情の揺れをそのまま形にする最適な方法を認知できるの、表現者として強いなって思う。

それを裏付けるように、このミニアルバムでは感情が極端に振れたときのそれを整えてパッケージしたと言っていて、本当に本当に合点が行く(Okayのようなネガに振れていた時に作った曲もあるので、確かにとなる)。制作中不眠症になったりもしたようなんだけど(一時期なにを語るでもない深夜のインスタライブをよくやってたのはもしかしてこの頃では…となる)、その起伏ごと客観的にパッケージにしてしまえる冷静さみたいなのが垣間見えるんだよな。聞き手からするとそこも面白かったりする。HUNNITの時のあなた、あんなに感情をあらわにしていたじゃない?っていうね。表現が熟していく過程が堪らないなーとなる。

彼は自尊心がそんなに高くない自負があって、数字的な部分よりも価値的な部分で自尊心が上がって欲しい、という思いがある様子なのだけど。このミニアルバムを完成させる過程でそれもだいぶ上がったと言っていてそこも興味深かった。自分自身と向き合う時の肝は自尊心というか、どれだけ自己肯定できるか、みたいな所なんじゃないかと私は思っていて、ちょっとホッとしたというか。いやこれ本当に良いアルバムだと思うし、良いアルバムです!と本人に伝わるようにしていきたいよね。うん*10動画はNo.5のMVを。Crushも一緒に香りについての勉強をしたと言っていたな。良いMVだなー。

No.5 (feat. Crush)

No.5 (feat. Crush)

  • PENOMECO
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥255

↓友人に教えてもらったインタビューで面白かったものをまとめておくので、興味があれば翻訳して読んでみてね。

 

④2019年のPenomeco

今年はまだPenomeco名義の曲のリリースがなく客演仕事が多かったのですが*11、5月7日に新曲のリリースが決まっています。先行して4月の単独ライブで披露されているのですが、過去イチかってくらいスローテンポで音数も少ないです。ティザーが出てるので最新の貼っておくね。

「영화 한 편 찍자(Movie)」(映画一本撮ろう)

ライブで見たあれが完成形なんだとしたら、ラップが完封されている曲になる…いや、入れてくると思うんだけど…。これまでの曲の歌詞でも度々登場する「映画」っていう単語がストレートに作品名に来たのはWTFが収録されている"Film"以来では。その名の通りティザーが既にショートムービーになっていて、舞台が日本の高校なんですよね。個人的には、PenomecoがMVで日本を出す時って何かしらのノスタルジーがキーワードになっている時という気がしてならないんだよな…それこそ日本で過ごしていた頃の何かを彷彿とさせるような何かがあるんじゃないかと想像してしまう。4人の登場人物は誰のことを指してるんだろう、とかね。もちろんどうかわからないけれど。ひとまず明日のリリース待ち。

→リリースされたので加筆。長くなったので記事分けました(5/12)

それともう一つ、ELO氏と一緒にまた曲を作っているようで、これもライブで先行披露されていたな。こっちは客演になるんだと思うんだけど、映画一本撮ろうに近いスローテンポのR&B(になるのかな…)で、Oh Iとは全然違う仕上がりになっていてめちゃくちゃ良かった。Penomeco今年はラップより歌の年なのかなーってなる*12

 

客演、自名義、ときてあと一つ…あわせて知っておいてほしいPenomecoの仕事があるので簡単に。

 

▼クレジットに登場するPenomeco

自分がパフォーマンスしたりはしないけど、クレジットに名前が残る仕事も増えてきているPenomeco(私はぺの仕事と呼んでいる)。「そこにも提供してんの?!」となるものがあってびっくりしたり、親交のある人が見えてきたりもするし、事務所のこともあるのか最近はSMドルへの提供が増えているのも面白いので、遡る形でいくつか紹介します。

「EXO - Tempo」(2018.11)

「Red Velvet - Taste」(2018.11)

Taste

Taste

どっちも作詞、ラップメイキングに参加。レドベルの方はあいりんお姉たまが「かわいいラップを書いてくれた」とVLIVEでもコメントくれるなど。Tasteの歌詞和訳こんな感じ、画像3枚目がラップパートにあたるのかと。

https://twitter.com/sunko95/status/1068542692412420102?s=21

この和訳を読んで、Penomeco、もしかして設定を自分にインストールしてから制作するタイプなのでは…?となっているのですが真相やいかに。*13後日それぞれのグループからお礼のメッセージが届くなどして嬉しそうだったなー。(yoonさんによるPenomecoのインスタスクショお借りします)

→5/12加筆

日出演したスケッチブックでTempoのセルフカバーが…!自分で歌ったの初めてだそうで、いやラップパートのスイッチの入れ方よ…!となったので貼っておきますね…。ステージでパフォーマンスしながらラップするとして、とかそういうところも考えて歌詞書いたようで、インストール型〜!ってなった。

 

「CHANYEOL,SEHUN - We Young」(2018.9)

作詞!筆頭で名前が出てるということはそういうことかなーと思うので歌詞和訳貼っておきます。すべての若者たちに自分が望むものを見つけてほしい、って内容になっていて、Penomeco自身のことを重ねてウッ(´;ω;`)となるなど。

「Dindin - Alone」(2018.4)

Alone

Alone

Dindin、N-Soulと連名で作曲。N-SoulとはMa Fam、For youとデビュー間もない頃にも一緒に作業してるので親交が続いている、ということになるのかなー。

「SLEEPY - iD (Prod. GRAY) 」(2018.3)

ID

ID

GRAY、SLEEPYと連名で作曲。昨日のリリースでBIGONEに客演していてそのプロデュースもGRAYだったのだけど、ここで既にGRAYと一緒に仕事してた。iD大好きでリリース当時騒いでいたので、ぺの仕事…!とびっくりしているよね…

 「Block B - My zone」(2017.11)

作詞がZICOと連名だ…気付かなかった…!パート毎に書き手を分けたのか、相談しながら一緒に仕上げたのかどっちだろう…。Block Bの曲のクレジットにPenomecoがいるのはこれだけだったなー。

「Got7 - Boom x3」 (2016.9)

ガッセに提供してたんだ?!とびっくりしたよね…ジェク、BOYTOYと連名で作詞のみなのでラップメイキングの一部ってことになるんだろうか。どういう経路でこの話が来たんだろうな。

 

客演曲、自名義、クレジット、と追ってきまして、最後にこれを。

▼Penomecoの音楽的な背景や関心を追うなら

いつもPenomecoにまつわるあらゆるものを英訳をしてくれるyoonさんが、PenomecoのインスタライブやストーリーでキャッチしたBGMをまとめてくれているのです。彼の音楽的な背景や最近の関心の向き先はここを辿ると良いかもしれない。これ、めちゃくちゃ重要なリソースだと思うんだよな…Penomecoへの関心が高まったのならこれもあわせて辿ると理解が一歩二歩深まるかと。

 

 

 …いやーー、書いたなーーー。

 

Penomecoという人は、感情そのものを、五感に訴える最適な表現を駆使して、再現性高く伝えることのできる繊細な感性の人だと私は思っている……ってことは十分すぎる位書けたと思うのですが。そういう感性のPenomecoが作る曲は、K-POPを入り口に韓国の音楽を聴いている人がK-HiphopR&Bと言われるジャンルに間口を広げていくきっかけになれると思うんだよな。hiphopは表現の芯にある人だけれどそればかりアウトプットするタイプでもないですし。私の場合は別の曲がきっかけだったけど*14、「そういう曲に触れてこなかったしHiphopってなんか怖そう」って思っている人こそPenomecoを聞いてほしい。誰かの感性によって自分の世界が広がるのはとても楽しいので、一人でもこれをきっかけに聞いてくれる人がいて、その人にとって何か一つでも「良いなこれ」と思える曲があると嬉しいなぁと思います。

Penomeco、92年生まれなので遠くない未来に兵役に行ってしまうんですよね…今年はフェスへの出演がいくつか決定しているので、チャンスがあれば渡韓して、ぜひパフォーマンスもみてほしいなーっと。

 

18,000字近い文章を最後まで読んでくれたあなた、本当にありがとう…!Penomecoをどうかよろしくね…!

 

*1:Gardenのアー写。良い写真。

*2:独特すぎて伝わらない…

*3:そしてここでも例によってMVを見ていない

*4:何度か呟いたりもしているけど、私にとっては動画を見るという行為のハードルが高いので、MVをよく見よく聞くのは珍しい

*5:謎のSNSインフルエンサーイベントと、VISIONでのゲスト出演

*6:私がファンを名乗り出すのは作品の関心を経た後に人そのものに関心を持ってからなので、この時点で「私はぺのめこファンだ」とようやく自覚する。おそい。

*7:なれそめについての部分

*8:この番組、Penomecoという人を一つ深く理解する上で必修科目だと思うので、MnetSmartに加入している人は日本語字幕で全部見ましょう。そうじゃなければ英語字幕を付けてくれている素晴らしい方がいらっしゃるのでそれを見るのだ。

*9:意外とあるんだよ、似てるなと思う曲や、映像が浮かばない曲が並ぶこと。

*10:なので今それを伝える手紙を書いている

*11:記事前半で概ね触れてるので見てね

*12:でも客演でめちゃめちゃラップしてる

*13:関ジャニ安田さんが往年の推しなのですが、彼も曲を作る時に設定をインストールして作業するタイプなので、まさか同じなのでは…とブルブルしてる

*14:セウン氏のJUST U

UNLIMITED EDITION 10 が天国だった

いつの話だよ…って感じですが、帰国直後の荷ほどきインスタライブのアーカイブが残っていないので、記録のために改めて書きおこしをば。

2018年10月の下旬、いつものようにソウルに行きました。1週間弱滞在したのは過去最長だったな…目的はこれです。

 

 

UNLIMITED EDITION 10

 

2017年の初めくらいに、友人から「韓国の本屋さん事情が面白い」という話と一緒に「本の未来を探す旅 ソウル *1」という本を教えてもらってからというものの、すっかりハマってしまいまして。韓国に限らず、外国に行くたびに'独立系書店'という、いわゆる一般的な本屋とは違って個人ではじめる書店…つまり店主の選書にものすごく個性が出る小さい本屋さんや、本・ZINEの少部数刊行をしている人たちを調べては見て回っています。ZINE専門、ハードカバー写真集専門、ファッション誌専門、絵本専門、海外アーティストのアートブック専門、詩集専門、推理小説専門、猫専門…もちろん専門店でなくても、選書に特徴のある書店がたくさんあるので、お店自体に居るだけでもすごく楽しい。そこには店主のセンスで輸入された海外の本や、独立出版物と呼ばれる、個人で作る本がたくさん並んでいます。

UNLIMITED EDITIONはその独立出版物の即売会。作家・イラストレーター・独立系書店・デザインスタジオetcが一同に集まるイベントで、アートブックフェアというと分かりやすいかも。2018年で10回目の開催で、韓国はもちろん、台湾・香港・中国・タイ・オランダ・イギリス・アメリカ・日本etc、近所のアジアやヨーロッパからも参加している人たちがいてとても賑やか。ブース数は200近く(!)もあって、7号線中渓駅*2から徒歩数分の場所にある会場(The Buk Seoul Museum of Art)がすごい熱気だった。どんな感じだったかというと、こんな感じ。

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これオープン直後の様子なんだけど、時間が経ってもぜんぜん人が減らない…むしろ増える一方で「な、なんだこれは!」ってした。すごい。ちなみに入場するのに30分くらい並んだんだよ…すごいなほんと。

 

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写真に収まらなかった…。会場は1階ホール、1階はなれ、2階ホール、イベントスペースに分かれているんだけど、1階はなれは「International Section」となっていて、海外からの参加ブースが概ねまとめられていた。日本台湾タイタイ日本中国台湾オランダ日本香港日本イギリスUSA、みたいにブースがぐるっと壁沿いに並んでて、それが韓国で開催されているアートブックフェアの様子ってだけでもう楽しい。このフロアだけ、標準語が英語みたいになっていてそれも面白かったな。

それ以外のホールは特にジャンル分けされている様子もなくひたすらごちゃっっとブースが密集していて、それも良かった。雑多に並んでて隣が全く交わらないジャンルのブースだと、どんなブースが来るか予想ができなくて楽しい。飲食ブースみたいなのはなく、会場に併設されているカフェでご飯を食べるか、会場の裏にアウトレットモールがあるので、そこまで行って休むか、という感じ。なんせ入場料無料、出入り自由だもんね。ありがたい。

 

ブース数200っていうとちょっとひるむけど、会場に行ってみると意外と全部回りきれる数だなと感じたので、回ったよ全部。細かいお目当なんて2つ3つくらいしか決めてられなくて、見てピンときたものを買おう、と決めていたので、結局何周したんだろう…4時間強位ずっとぐるぐるしてた気がする…。ここからは実際にお買い物をしたブースの紹介をば。

 

・ORDINARY PEOPLE

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学生の時からの付き合いのメンバーで作ったORDINARY PEOPLEは少人数のデザインスタジオ。SMエンタのイヤーブックがきっかけで知ったデザインスタジオなんだけど*3、普段はクライアントワークをやりつつ*4、何か自分たちで作りたい、とはじめたのが、2015年から2年毎に製作される365日全絵柄がちがう日めくりグラフィックカレンダー。その2019年版の販売初日がこのイベント!ということで、買うぞ!!と意気込んで足を運んだのだった。後日このカレンダーの展示が都内に巡回に来てくれて、製作裏話なんかも本人達から聞けて嬉しかった。365枚をスタジオメンバー4人だけで作っていて、初年度は本当にしんどくて二度とやらないと心に誓ってたんだってw 気づいたら今回で3回、し褒められて嬉しかった記憶は残り、しんどかった記憶は消えていき…と言っていて「わかる」となった。

私は小さいサイズを買ったのだけど、韓国ではA4くらいの大きなサイズが日めくりカレンダーの一般的なサイズと知って驚き。めくったカレンダー、捨てるのもったいなくてどうしようってなるので、大きいサイズを買って後から貼ったりしても良かったかなー。東京で話した時に「良かったらスタジオに遊びにおいでよ!」と言っていただいたので、私は間に受けて遊びに行く気満々なのである。

https://instagram.com/ordinarypeople.seoul?utm_source=ig_profile_share&igshid=2420wrbni3wy

 

・KIOSKKIOSK PENCILKIOSK

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KIOSKKIOSKそのものはセレクトショップなんだけど、ペンシルキオスクの方は名前の通り、PENに関するあれこれをテーマにZINEやグッズを展開している、なんだろう、プロジェクトなのかな…。私は以前、Book Society*5っていうZINEに強い本屋で’Pencil Testing’っていう、数10本の鉛筆の筆跡がひたすらに記録されたZINEを買った事があって、「あのZINEのとこだ!」となった。同じZINEも売っていて、その横にTestingした鉛筆が売られていてなるほど。ここではカレンダーを購入。次ソウル行く時はセレクトショップにも行ってみよう。

 

・YETI

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鮮やかな色の印刷がきれいで、わーと思って近くで見たら全部猫だ…!YEJI YUNさんが実際に飼っている猫(MAMOO)のようで、ポストカードや既刊、グラスもあったな。どれもPOPでめちゃくちゃかわいい。本業はイラストレーターで、猫以外にも色々書いているみたい。

買った新刊、奥付を見たら72/365と記載が。どこで印刷したのかなーと思って奥付見たら、KNUST PRESSのEXTRAPOOL,Netherland…え、オランダ?!遡ったらオランダまで行っている投稿があった…まじか。そのオランダのKNUST PRESS*6も今回出展してたことにこの記事を書きながら気がついて「うわー!」となった。立ち寄ってはいたけどお買い物してなかったな…しとくんだった…

こういうイベントの良い点、出展者同士でどんどん繋がっていくところなので、きっと別の人とKNUST PRESSも新しく繋がったんだろうなー。↓のストーリーアーカイブでさっきの本が印刷されている様子も見れるよ。

KNUST PRESSブースはこんな感じ。並んでるZINEどれもかわいかったよ!

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・INDEPENDENT TYPE DESIGNER EDITION 

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 強めの書体に引き寄せられ、バッチ、ポストカード、ステッカーのセットを購入。ラベルには書体デザインをしたデザイナーとフォントの名前が。ハングル、英語と似てデザインする書体のパターンが少ないから、フォント作るの逆に頭を使いそうだな…。

INDEPENDENT TYPE DESIGNER EDITIONはその名の通り世界で活躍する書体デザイナーによるユニットで、各々がデザインした書体を使って印刷物を作ったりグッズを作ったりしてる。UE10の紹介ページ見たら、ほとんどのデザイナーが韓国の大学を卒業した後ヨーロッパでがっつり勉強していて唸った。ユニットとしてのアカウントはないので、私が買ったグッズの書体をデザインした方のものを。

http://minjooham.com

 

・SEOL DONGJU

旅先でスケッチしたイラストをZINEにしている人(本業はなんだろうなぁ…)。面白いのはその素材になった風景をポストカードにして、ZINEに挟み込んでいるというところ。誌面にしちゃうんじゃなくて、「挟む」って行為が旅行っぽくて良かった。パスポートには搭乗券、行った美術館のパンフレットには入場券はさんだりするじゃない?あのノリなんだよな。

私はニューヨークを買ったんだけど、東京、ソウル、もう一つ、韓国のなんてとこだったかな…場所を忘れちゃった…それぞれ同じフォーマットじゃなく、ZINEのサイズも、一緒にパッケージされているものも違っていてどれを買うか迷ったなー。ネームカードにはその場で型押しタイプのスタンプを押してくれた。かわいい。インスタにはニューヨーク旅行のストリーがどっさりアーカイブされているので、手元にあるZINEと見比べたいなー。

 

・Bridge Ship House

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ブリッジさん出展するのは事前に知ってて、大阪の個展いけなかったので新刊ほちい!となり2階上がって一直線にブースに行ったよ!サイン入れてもらって、カレンダーもお買い上げした。

せっかくなのでゆっくり話をしたんだけど、SHINee案件は過去このイベントに出展している時に声をかけてもらったことがきっかけだったと聞いて、発注する側のアンテナの張り方なるほど…見方を変えれば、めちゃくちゃ鮮度の高い見本市ってことだもんな…となったのだった。学びが多い。ブリッジさんは帰国後、年末に新宿のミニ展示でまた会えてUEの時のーって話もできて嬉しかったです。

BRIDGE SHIP HOUSE official

 

・SUPERSALADSTUFF AND PENPALS

 SUPERSALADSTUFFとPENPALSというユニットの合同出展、ということになるのかな…SUPERSALADSTUFFは母体で、その中の人がsuper_salad(Haeri Chung)さん。PENPALSの方は日本人(KeyBoy・ShiShi Yamazaki)のユニット。日本で買った「KNOT(ver.2)」っていう、紐の結び方を紹介しているZINE*7と同じものがブースに並んでいて「あー!これは私のお気に入りのやーーーつ!!!」ってなった(2度目)。リソグラフの鮮やかな蛍光色の印刷物好きなんですよね…このZINE大好きなので、中の人に会えてめちゃくちゃ嬉しかった。その気持ちを伝えたら「いい話だ…!」ってなって写真撮ったりした笑

ここではsuper_saladとPENPALSのKEY BOYが文通した内容をそのまま収録した本を買った。お互いが相手の母国語でハガキのやり取りをするもので、個人情報以外全部載っているんだけど、書かれた文書に対しての文法の補足?ダメだし?が添えてあってめちゃくちゃ面白かった。アイスやお菓子のパッケージをカットしてポストカード代わりにしててそれも良い。ほら、FREITAGもトラックの幌をカットして作ってるわけでさ、通じるものがあるよね。ポストカードの絵柄を眺めるだけでもふふっとなるな。うん、これは良い本。おまけでそのポストカードが付いてきて嬉しかった。

https://cargocollective.com/super_salad

 

・PRESS ROOM

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デザイナーYang Jieunさんが運営する出版/デザイングループ。「RC」っていう小さい本とステッカーセットを2つ買った。RCってRubberConesの略なんだけど、これが何かって言うと、フランス・日本・オランダ・韓国・スペイン・スイス・アラブ・イギリスで撮った、三角ポールの写真集…ニッチ…!三角ポールの比較とかしたことある??ないよ!!買いだろこれは!!w っていうテンションだった。

ステッカーセットは、OpenRecentGraphicDesignっていう、グラフィックデザインアーカイブを通してデザインに関する批評議論をするためのプラットフォーム発のもので、PRESS ROOMはこれに企画として関わっている、ということみたい。活動が人それぞれ様々で面白いなー。

 

TOTOTATATU

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STATIONからリリースされたYESEOのデジタルシングル(Privacy)のジャケットイラストを描いていたイラストレータSeo Youngさんが、新刊「Universal Pizza Club」出すよ!って言うてる告知を見かけて。ユニバーサルピッツァクラブってなにww ってなるじゃない(褒めてる)?単語が強いし、イラストも強い。描きたいものをひたすらに描いて詰め込んだって言ってるだけあって、発表されるイラストはとても自由で、何なら毒っ気もちょっと感じてとっても良い。お化けとか人魚と一緒にピザ食べてるのかわいかったなー。

 

・6699press

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デザイナーのイ・ジェヨンさんが運営する一人出版社だそうで、デザイナーの役割を考えつつ、既存の出版社ではできないことをしようとして始めたんだって。私は日本のある本屋さん*8に教えてもらった韓国の銭湯の写真集がきっかけでここを知ったんだけど、この日もその本を売るぞ!!という気合いの入ったブース展開を見せていて好感度がとても高い。ジェヨンさんの人柄もよく、何度も来ては買うか悩んでいる私を見て、NGだったクレジットカード払いを別のお店に協力してもらってまでOKにしてくれたの…やさしい…。その男義に「そこまでしてくれるなんて!!買います!!」と、見事に陥落した私、このイベントで一番重たい本を買うこととなったのだった。

他にも、手ぬぐいやうちわ、メッシュバック、それと、韓国の銭湯で実際に使われていた靴箱の鍵がキーチェーンになって売ってて、これは銭湯で展開するべきでは…?となったし、ここまでやるとなると確かに、既成の出版社ができることではないよな、という。日本では温泉のマークだけど、韓国だと銭湯のマーク、ってことなのかしら。鍵、日本の同じタイプのものより一回り大きかったよ!

 

・PLUTOSHIN

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色々なブースを見ていて、どんなに大きくてもA4がいいところなサイズ展開の中、群を抜いて大きく、群を抜いてお値段のする(50000Wだったかな…)ZINEが売られていたのがここ。遠巻きに見たら、真っ黒な誌面に機械的なパターンがそれはそれは美しく印刷されていて、これはなんだろう…と興味本位で手にとってみたんですよね。そしたらびっくり。これ、夜の高層ビルの窓明かりだ…!幾つかのそれを合成して作品にしてるんだ…!うわーうわーとなって写真集のタイトルを見たら「Urban Astoronomy」…セ、センス!!!!買います!!!!と、一番高い熱量で買った本。夜の高層ビルの窓明りに宇宙を見つけるって、なんつーセンスなんだ…すごいな…

Shin Byeong-gonさんは空間と都市をモチーフに、写真を素材にした作品を作ってる。本業はフォトグラファー。Urban AstoronomyはURBAN TRILOGYっていうシリーズのうちの1つで、他にもDifferentiation、Telemeticsがある。どれもマンションや高層ビルの壁面や窓の写真が素材になっているんだけど、アプローチがめちゃくちゃ理系で面白いので、是非インスタ見て欲しいなー。

 

・APERTURE BROUGHT ME HERE 

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International Sectionにいたタイからのブースのうちの一つ。2018年6月にバンコクに行っていたので、良い熱量のままタイの方と話ができてよかったなー。彼はタイだけじゃなくアジアのアートブックを点々と渡り歩いていて、自分が参加したアートブックフェアで次の繋がりを得るんだって。今回も中国から出展している人と話せて、そこに出展することが決まったって言ってたと思ったな。そういうバイタリティ大事にしていきたい。

ここでは「Repeat Repeat」っていう豆本を買った。タイの風景の中にある「繰り返し」のモチーフを切り取った豆本で、スタジアムの椅子、大量のスプレー缶が置いてある様、工事用具が入っていた空ケースが重なっている側面…バンコクの都市部のカオスにも整然とした”パターン”があるんだなーと思うと、対比が面白かった。上海のアートブックでまた会えるかな?会えるといいなー。

[ ตั้ม ] Wuthipol Uj.

タイからはもう1組参加していたんだけど、こことは対象的にかわいらしい作品が多くてそれも興味深くて、振り幅がすごいな…となった。韓国のクリエイティブと言ったらこういう感じ、というようなまとめ、タイにおいては自分の中で全然確立できてないので、もう少したくさん量を見たいなー。

 

BANANAFISH BOOKS

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このイベントで唯一(だったと思ったんだけどな…違ったらごめん)の中国からの参加。上海を拠点にするアーティストブックの出版社で、イベントや展示のキュレーションもやるし、ZINEの発行のお手伝いもする。私がずっと五月は中国に行くと言っているのはここが主催するUNFOLD2019っていう、上海のアートブックフェアに遊びに行くからです。ブースにいた彼女は英語が堪能で、このイベントが気になると言ったら最後の一枚だったフライヤーをくれた。

私が手に取ったZINEは服部一成さんによるもので、買った当時は「誰だ…聞いたことある…」と、記憶がぼんやりしてたのだけど、調べてたら「あ!あー!え、この人ZINE出してるの?!」となったのだった。このZINEはこのBANANAFISHが発行していて、200部限定のよう。ストライプだけでひたすら旗を描いていくZINEで、リソグラフの蛍光色と相まって目がチカチカしちゃう。

個人的に気になるのは検閲なんですよね…書籍は必ず入るんだと思うんだけど、ZINEってどうなんだろう…治外法権なのかな…もう少し聞いてくればよかったけど、諸々は5月にわかるってことで。

http://a-perfect-book-for-bananafish.com

 

・SUMMER FOREST*

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作家の方がとにかくずっとお客さんと話していて、ずっと人だかりができていたなー。平壌に関する本を並べていて、私は平壌のプールのポストカードセットを買った。レトロで昭和感漂うプールの写真、趣が深くてよかった。いやー、言葉が分かれば、これを作ると決めた経緯とか、実際にどうやって作ったのかとか色々聞けるんだけどなぁ。

ポポタムのブースに遊びにいったときに店主と雑談がてら今回のトレンドの話を聞いたのだけど、北朝鮮をテーマにした本をよく見かけた、と言っていた。こういうところにも政治の影響があるのか、なるほど。

 

ふーーー。抜けてるところもありそうだけど、これ以外にも、日本や韓国で少しずつ買いためたZINEや雑誌が置いてあるブースに何度も出会って、その度に「あぁこれ持ってる…!あなたが中の人だったのね…!」っていう気持ちになれて本当に幸せだった。シリーズのものは続刊があったりするわけですよ、キリがないのよ…。ものすごいアドレナリンが出ていたので、数時間で300,000ウォン*9を溶かしたのだけど、これでも自制した方なのよね…スーツケース小さくして置いて良かった…。紹介できてないブースがまだあと10以上あるので、どこかで改めて話ができるといいなー。

 

ぐるぐると会場を回っていると気づきもあって、どんなトーンのイラストが多いのか、どんなテーマの本が多いのか、韓国のトレンドとそれ以外の国のトレンドはどうちがうのか、とか、色々。先にも書いたけど、今回は北朝鮮をテーマにしたZINEや本が多かったようで、それもトレンドよねと。毎年通うことでの気づきもあるんだよな。それは2019年以降にまた書きたい。

どのブースも総じて熱量が高いのだけど、これから活躍するだろう作家やユニットの青田買いをする場所としてもめちゃめちゃ機能してる。Bridgeさんから聞いた話に通じるところもあるのだけど、今この場で目にした物が琴線に触れるか触れないかで判断して仕事の話になるの、素直で良いなぁって思う。独立系書店やリトルプレスとして出展している所も、自分たちの本やグッズはもちろん、今一番並べたい本を並べているわけでさ。私は単に元々ビジュアルブックが好きで、この界隈に関心があってきているだけなんだけど、見つけたくて来てる人にとっても良い場所なんだなーと思ったのだった。

 

……いつまでも書き続けてしまうので、最後にこのイベントの一番重要な出展者の紹介(ブースの写真を撮っていなかった…)をしてこの記事を締めることにします。 

 

・YOUR MIND

ホンデからバスで10分くらい行ったところにひっそりとある、THANKS BOOKSと並んで独立系書店/リトルプレスの双璧をなすお店。入れ替わりの早い界隈だけど、今年の5月で開店9年経つの本当にすごい。ここの店主のイロさんが、UNLIMITED EDITIONの主催者。お店では独立出版物だけを扱っていて、読み物も見て楽しめるものも充実しているので、ぜひお店に行って見てほしいです。猫もいるよ🐱

イロさん、81年生まれだったかな…私と歳が近いんですよね。冒頭で紹介した本「本の未来を探す旅 ソウル」でもがっつり紹介されているので、良かったら読んで見てほしいなー。

https://instagram.com/your_mind_com?utm_source=ig_profile_share&igshid=5ujim34bb9tj

 

UNLIMITED EDITION、ソウルファッションウィークとも会期が被りやすい*10ので、色々なカルチャーに触れる良い機会だと思うの。例年通りなら3月くらいに日程がでるので、興味を持ってくれた人はぜひ行きましょう!私もまた行きます\\ ٩( 'ω' )و ////

 

 

 

*1:去年の初冬に台湾版も発売になった

*2:ソウル駅から1時間位

*3:彼らが2015年版の装丁を手がけていて、ポートフォリオが検索でヒットした

*4:MBCのグラフィックアイデンティティや、SEVENTEENのIDEAL CUTソウルコンでのキービジュアルを手がけたのも彼ら

*5:https://www.instagram.com/tbs_book_society/

*6:http://www.knustpress.nl

*7:https://cargocollective.com/super_salad/KNOT-Ver-2

*8:目白のポポタム。今回のイベントにも出展してる、知る人ぞ知る日本の本屋さん。お世話になってる。

*9:日本円で3万円くらい

*10:10月中頃開催が多い